第24話

気持ち
2,048
2018/08/13 10:14
そらちぃ
、あなた、
あなた

あ、、どしたの、

そらちぃ
目覚めちゃってさ、
あなた

ふーん、

そらちぃ
俺、、さ、
あなた

あ、私帰る支度しなきゃ。ごめん、そらお休み。

そらちぃ
え、ちょ、
大きなバッグに荷物を詰め、お母さんの元へと帰ろうと考えた。

あんな事を告げられて、何のともなかったかのような生活なんて絶対に無理。

みんなの事は大大大大好き。
それに、この生活も凄く好き。
でも、さっき、されたカミングアウトのタイミングにもきっと何か意味があるんだ。
私が家に帰った方がいいと言う神からのお告げ?的な。や、まぁ、違ったとしても、いい機会だ。帰ろう。
そらちぃ
あなた、聞こえる、?
えっ、、。
リビングから追い出した、そらの声がドアの向こうから聞こえて来た。
あなた

、なに

そらちぃ
お前、帰ってどうすんの、?
あなた

どうするって、、学校行く。

学校。

こんなもん、本当は行きたくない。
そらちぃ
ふーん、また辛くなっちゃうんじゃない?
あなた

大丈夫。

そらちぃ
そっか。
あなた

うん

この、優しい声。

胸が苦しくなる。
苦しい日々が記憶の中でフラッシュバックされ、私の心と身体をズタズタにして行く。
消えてしまいたい。
そらちぃ
あなた、。
あなた

、、ん?

震えた手と震えた声をどうにか抑えようとした。喉を抑え、声が真っ直ぐ通るように、手を握りしめ正常になるように。
そらちぃ
俺の話、何も言わずに聞いてくれる?
あなた

うん、、。

そらちぃ
今、凄く、俺はお前を抱きしめたい。そして、落ち着くまでずっと一緒にいたい。
ずっとずっと、近くにいて、些細な事で笑いあって、えいちゃんとりっくんとみっくんとあなたと俺で居たい。
そらちぃ
そして、面と向かってお前に伝えたい。
大好きって。ごめん、何回も何回も気持ち抑えようとした。でも無理っぽいわ。ほら、俺ワガママな所あるじゃん?
扉が開き、私を後ろから優しく包み込んできた。

耳元で囁く吐息。私の震えは彼の体温でかき消された。

落ち着くんだ。何故か。この匂い、この暖かさ、この声に。
そらちぃ
だめだよな。
お前を必死になって俺の記憶から消そうとした。でも、消そうと思うと、心が重くなるばかりで涙が止まらなくって、苦しくなるばかりだった。ごめん。どうしても無理なんだよ。だから、お願いだから、自分がダメになることをわかってんのに、戻るなんて言わないでよ、
ぎゅっとさっきより強く締め付けられた。
涙は私の頬をつたって落ちていった。
あなた

そらはずるいね。

そらちぃ
、、へ、?
あなた

こんな時に現れて、優しくして、卑怯で自分勝手過ぎる。でも、でもね、そんなそらが、小さい頃から大好きだった。

そらちぃ
…!?
あなた

でも、いつだったかな、昔にそらは好きになっちゃいけない人なんだなってあの出来事で思ったから、

そらちぃ
え、
あなた

だから、いいの、今の私は結構吹っ切れてるし

違う、吹っ切れてなんかない、今でも好きなのかもしれない。でも、本当に好きなのかなんて自分でもわからない。

私の決意に狂いはない。


私を後ろから包んでいたその手を無理矢理ほどき、大きな荷物を持ちお母さんの元へと向かった。
そらちぃ
あなたー
早朝の空に彼の声が響いていた。その声に、振り向かない。足を止めない。泣かない。
そう思いながら、私はひたすら歩いた。

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