リビングでくつろいでいた、私の前で改まっているりっくんはモジモジしながらも話を続けようとしてくれていた。
少し大きな声で顔を伏せながら話し出した。
呼吸も荒く、どうしたら良いかわからなかった。
この言葉を言った瞬間に、りっくんの顔は明るくなり嬉しそうに目を合わせてきた。
何かを隠しているりっくんは私に満面の笑みを浮かべて手を振り、出かけてくると言い出した。
腕を掴み、玄関へ向かおうとするりっくんをリビングへと連れ戻した。
少し沈黙が広がり互いに何も言えず固まっていた。
訴えてきたりっくんの目はいつもより男っぽくて雰囲気が違っていた。
礼をしてから笑顔でチラリとりっくんの顔を覗き込んだ。
お互いに気まずくなるのは嫌だからか、話が終わった後も笑顔で話せた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!