そう言い、私はこの場を後にした。
誰も追う様子はなかった。
このまま、リュックを背負って行き先もわからないのにひたすら歩いた。
着いた場所は、学校だった。
試しに行ってみようと思った。
あんな事になるってわかってたら、さっき、あんな風に思う事は無かったんだろうと後悔することも知らずに。
絶対、私の事を見捨ててる。この蔑んだ目。教育委員会の圧に怯えていじめは無いと事実をかき消そうとしている。
私は、この学校へ行くようになって、一度もこんな笑顔を見せたことが無い。
今日は、コイツおかしいんじゃ無いかって思われるほどの笑顔で1日を楽しもうと思う。
ガラッ
扉を開けると一斉に視線を集めた。
くしゃりと笑い、机の上にある花をよけて、椅子の上の消しかすをはらった。
机の脚を蹴られた。
結構、想像通りだった。
声のトーンが高いと思われるほど上げ、笑顔は忘れなかった。
一瞬で教室がざわついた。
振り向いた先には、アバンティーズのツリメがいるのだから。
いじめてたこの顔も一瞬で青ざめていた。
クラス全体が興奮状態だった。
クラスの皆んなは扉の前にいる2人のところにたかり始めた。
帰ろ。
反対側の扉から出て行った。
後ろから私の声を呼ぶおにぃの声が聞こえた。
振り返ってみると、おにぃは手招きをしていた。
たかっていたクラスの皆んなはいつの間にか席についてた。
教卓に先生はもういた、でも私は先生を押し避け教卓の真ん中に立ち話し始めることにした。
両脇にはそらとおにぃがいるんだから。
思った通りざわついたり立ち上がったりする人もいた。
この空間の中は一瞬にしてザワザワとし出した
せいせいしたって言う人も多いであろう。
でも、考えが甘いよな、学生は。
本当に訴えない訳が無いじゃないか。
周りの子達も首を縦に振り、先生の顔も固まった。
しーんと、黙り出した。
長い沈黙が広がった。
そして、ガラッと校長先生が入ってきた。
この後、私たちは訴えた。
先生達はどうなったのか知らないがすっきりした気がする。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。