無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第9話

Stage2-3
王子 宇瑠
王子 宇瑠
――あの
ためらいがちにかけられた声に、ふり返った。
王子 宇瑠
王子 宇瑠
落としましたよ?
そう差しだされたのは、さっき捨てたばかりのスマートフォン。
差しだしていたのは、さっき話題にのぼったばかりの風真ファンの女の子だった。
うすピンク色のハンカチにつつまれて、スマートフォンはまだヴーッヴーッとしつこい着信を告げている。
塔上 沙良
塔上 沙良
(……チッ、完全防水だったか)
舌打ちをして相手を見る。
よけいなことをしてくれた。
塔上 沙良
塔上 沙良
君、やっぱりストーカー?
いら立ちまぎれに冷たい視線をおくると、彼女は目をまん丸くした。
王子 宇瑠
王子 宇瑠
え?
塔上 沙良
塔上 沙良
ボクがだれだか、知ってて追ってきたんでしょ? わざわざこんなものひろって
王子 宇瑠
王子 宇瑠
べ、べつにそういうわけじゃありません! それに、わたし風真くんファンなんで! ぜんっぜん塔上くんじゃなく!
塔上 沙良
塔上 沙良
……君、それはそれで失礼じゃない?
王子 宇瑠
王子 宇瑠
えぇっ、そ、そっちこそじゃないですか……! そういえば前もストーカーって言いましたよね!?
塔上 沙良
塔上 沙良
ストーカーじゃないならなんなの?
王子 宇瑠
王子 宇瑠
あれはたまたまです。ただの偶然! いくらドルチェが好きだからって、そこまではしません。わたし、ファンマナー守りますから。風真くんにきらわれたくないので!
たしかにな、と思う。
いまのところ、おなじマンションなのをいいことに風真に近づこう、なんてことはしていない。
それどころか、風真から逃げているのを知っている。
塔上 沙良
塔上 沙良
……ひろわなくてよかったのに。捨てたんだよ、それ
言うと、彼女はすこしだけ困った顔をした。
王子 宇瑠
王子 宇瑠
――ホントは、知ってます。捨てるとこ見ちゃったので
塔上 沙良
塔上 沙良
じゃあなんで
王子 宇瑠
王子 宇瑠
あの、でも水の中でもずっとブーブーなってるのがきこえたから、そのままにしておくと個人情報とか、あぶないかなと思って
こんどは沙良が目を丸くする番だった。
塔上 沙良
塔上 沙良
じゃあ、ようするにボクのこと心配してひろってきてくれたってわけ?
落としましたよ、と声をかけたのは、うけとるときに沙良が気まずくならないようにか。
「はい」とは言わず、彼女はただにこっと優しくほほ笑んだ。
塔上 沙良
塔上 沙良
(君、Tシャツぬれちゃってるじゃないか)
スマホをひろうさいに、水がかかってしまったのだろう。
肩でさらさらとゆれる髪からも、ちょっぴり水滴がたれている。
塔上 沙良
塔上 沙良
……ばかじゃないの?
ほっときゃいいのに。
スマホを不用心に捨てようとしたのは沙良だ。
自分が悪い。なのに。
王子 宇瑠
王子 宇瑠
ば、ばかって……。だって個人情報はだいじですよ? アイドルのスマホなんて、きっと即転売です!
塔上 沙良
塔上 沙良
君ね、おせっかいなの? ええと……王子さんだっけ?
王子 宇瑠
王子 宇瑠
えっなんで知ってるんですか?
相手はおどろいた顔をしたけれど、じつは言った沙良本人が、一番自分におどろいていた。
塔上 沙良
塔上 沙良
……ポスト。あんなところにちゃっかり苗字書いてるの、君の家くらいだよ。それこそ個人情報でしょ
さらりと答えたけれど、心の中はみょうに動揺していた。