第20話

私、
819
2019/02/21 09:33
格子にかけた手は震えている。
怖い。
本当は怖いよ。
私は弱いから。
強くないから。本当はできない。
でも、みんなをぐちゃぐちゃにしてるのは?
あなた

私。

みんなを濁してるのは?
あなた

私。

消えないといけないのは?
あなた

私。

鳥肌が立つ。
風が強くて、少しフラつく。
いぶ
いぶ
やめて?ねぇあなた?
いぶ
いぶ
やめt_
"ダンッ"
一瞬にして、いぶが蹴飛ばされた。
柿原先輩
柿原先輩
おめーは黙ってろ。
許せない。
柿原先輩も。
自分も。
許せない。

















































































『もう許せない_』
今の声は…
たいが
たいが
いい加減にしてくれますか?
たいが
たいが
先輩?
片手にスマホを持ったたいががどこからか現れた。
いつの間に…突然の登場に驚きを隠せない。
柿原先輩
柿原先輩
たっ、た、たいがくん!?
ど、どうしたの?こんなところで?
先輩は必死だ。作りキャラ。絶対バレてんのに。
たいが
たいが
知らないフリするつもりですか?
たいが
たいが
へぇ、強いですね。先輩。
柿原先輩
柿原先輩
なっ。
たいがの突然の登場に、私は何も言葉にできない。
いぶは…気を失っているみたいだ。
助けにいきたいけど、取り巻きがこちらを囲むから。
すると、たいががゆっくり私に近づいてきた。
何故か取り巻きはスっと退いた。
私の真横にたいが歩み寄る。
すると、たいがはスマホを胸ポケットに入れて、
"プチッ"
私の腕をとり、私の制服の手首のボタンを器用に取る。
あなた

?!

たいが
たいが
痣。
たいが
たいが
見えます?先輩?
たいがは、私の腕まくり、痣だらけの私の腕を先輩に見せつける。
柿原先輩
柿原先輩
すると次は、たいがが私のスカートを持ち、クイッと少し上にあげる。
少し恥ずかしい。
たいが
たいが
膝も。ね?
たいが
たいが
痛かったよな。ごめんね、あなた。
今まで助けてあげられなくて…
たいがは、私の頭をゆっくり優しく撫でた。
こんな状況なのに、たいがは強い。
少しもひるまない。
柿原先輩
柿原先輩
なっ、何よ?たいがくんは何をしたいの?
柿原先輩
柿原先輩
関係ないでしょ?私達は今、あなたちゃんとお話してただけよ?そんな痣なんて知らないわ?
先輩はやけに上手い作り笑顔をむける。
たいが
たいが
先輩って嘘つくの下手ですね。
たいがは、クスッと笑った。
少し違う。
このたいがは、いつもと違う。
怖い。
すると、
"グイッ"っとたいがに腕を引かれる。
あなた

!?

気づいたら私は、先輩に背を向けるような状態でたいがに抱きしめられていた。
たいが
たいが
僕の大事な友達…ううん。親友。
耳にかかる吐息がくすぐったい。
たいが
たいが
傷つけましたよね?先輩?
柿原先輩
柿原先輩
はっ、えっ?私達は何もしてないわ。
たいが
たいが
傷つけましたよね。こんなにも。
柿原先輩
柿原先輩
だっ、そ、その証拠はどこにあるのよ?
たいが
たいが
ここ。
そう言うと、たいがは自分の胸ポケットから少し出ているスマホを指さした。
柿原先輩
柿原先輩
スマホ?
胸ポケットからカメラ部分だけ覗いたスマホに、?マークが浮かぶ。
たいが
たいが
ずっと撮ってたんです。もちろん今も。
あなたを呼び出したところからぜーんぶ。
柿原先輩
柿原先輩
なっ、そ、そんな…
すると、たいがは私の体をそっと離した。
たいが
たいが
僕、久々に怒ってるんです。
そう言いながらたいがは、スマホを胸ポケットに戻す。
柿原先輩
柿原先輩
スマホ…!スマホどうにかしなさい!
取り巻きにそう指示を出したものの、ついさっきまで態度が大きかった取り巻きも、さすがにひるんでいるようだった。
柿原先輩
柿原先輩
なっ、もういいわ。見損なった。
すると柿原先輩が一瞬にして、私の元にやってきて、
"グイッ"っと胸ぐらを掴んだ。
私は持ち上げられて、少しかかとが浮いている状況。
首が…痛いっ…
たいが
たいが
なっ。今すぐその汚い手を…
柿原先輩
柿原先輩
嫌よ。
たいが
たいが
は?
柿原先輩
柿原先輩
嫌よ。
あなた

う"っ…苦…しぃ…

たいが
たいが
あなたっ!!
柿原先輩
柿原先輩
この汚い手〜?うふっ。離して欲しかったら、私の言うことを聞きなさい?たいがく〜ん?
怖く幽霊みたいな顔をした先輩は私をもっと高く持ち上げようとする。
たいが
たいが
嫌です。
柿原先輩
柿原先輩
へぇ、そぉ。
先輩のいうことも、聞けないなんてあなた…このクソ女あなたと同じじゃない。
たいが
たいが
なっ。
柿原先輩
柿原先輩
私はあなたが分かってくれると思ってる
たいが
たいが
は_?

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