学校生活にも慣れてきた、数ヶ月後。
私達は、連絡先を交換したからか、
急激に仲良くなった。
最近2人はこの会話が日課になっている。
テンポよく2人の会話が進んでいく様子。
その発言にみんなは驚いた顔をする。
すると、
れんが、なにか思いついたような顔をして
なんて聞いてきた。
私は、たいがに不安を抱きながら聞いた。
いぶは、相当驚いてる様子を見せた。
少し恥ずかしそうに、たいがが言った。
***
放課後…
私といぶは、一旦帰宅してから合流して、一緒にたいがの家に行くことにした。
2人で、アイスをかじりながらたいがの家までの道のりを歩く。
少し嬉しそうに頬を赤く染めるいぶ。
いぶは急に足を止めて、顔を真っ赤にした。
冗談で言ったつもりが、ドンピシャだったらしい。
顔を隠したいぶは、その場にうずくまった。
私は、いぶの背中をさすった。
するといぶは顔を上げ、少し涙目で、
と弱々しい声で訪ねてきた。
いぶは、クシャッと可愛く笑った。
***
玄関前の廊下から、ジュースを持ったれんが歩いてきた。
私といぶは、れんに付いて行く。
いぶは、緊張しているのか動きが硬い。
無理もない、好きな人の家に行くんだから。
ある部屋に入ると、座っているたいががゲームコントローラーを持ってこっちを見ていた。
れんはテレビ画面を見て、たいがに顎でそれを指す。
よそ見よしていたせいか、画面には"GAME OVER"の文字が。
たいがは、力尽きたように倒れ込んだ。
たいがは、乱雑にれんにコントローラーを渡した。
れんの言う通り、画面にはさっきと同じ文字があった。
れんからコントローラーがまわされる。
私の声に合わせて、指が動くと共に画面のプレイヤーが敵にダメージを与える。
私は、体力が少ないのに気にせず、攻撃し続けた。
ギリギリ視界に入るいぶが、目を隠してる。
私はコントローラーを置き、みんなとハイタッチをした。
そんなこんなで時間はすぎ…
窓を見るも、もう外は真っ暗だった。
大きなあくびをしたあとにそう言うたいが。
何故か、私にむかって小さくウィンクしたれん。
もしかして、れんもいぶの事情…
知ってんの?!
いぶは、下を向いて顔を手で隠した。
私は、はらはらと手を振るれんに付いて行く。
***
帰り道。
言う通り、れんと私は一緒に横で歩いた。
電柱に付いたライトがピカピカと点滅する。
れんは、首を傾げる。
と、言いかけた時に、れんが口を自分の手でおさえた。
私は、れんの前に立ちはだかり、れんに近づいて身を乗り出す。
顔をそらしながら、そう話すれん。
そういえば最近、仲良かったし…
いぶも、連絡頻繁って言ってたし…
たいがのこと、好きだって言ってたし…
れんに、私の肩を両手でがっしり掴まれた。
私は感激のあまり、れんが男の子ということを忘れて、れんに抱きついた。
その衝撃に備えてなかったれんは、後ろに倒れて…
道に、れんが尻もちをしたその上に道ずれにされた(した)私が、乗っかってしまった。
私は、痛そうな顔をするれんに必死に謝った。
大丈夫と答える代わりに、れんは眩しい笑顔を送ってくれた。
私は、申し訳なさで心が埋まり自然と俯いた。
顔を上げると、
赤面したれんが。
微笑んだれんの手が、私の頭の上に置かれる。
私は、赤くなった顔を隠すために、れんから視線をそらした。
れんがそう言うと、ふわっと体が浮いた。
れんが、私を持ち上げて、立ち上がった。
れんのこういう優しいとこ、嫌いじゃない。
少し寂しそうな顔をしながら、空を見てそういうれん。
私は何故か、その横顔に見とれてしまった。
その視線に気づいたのか、れんがこっちを向いた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!