れんは少しすると裏に戻った。
なんだか、わからないけど。
とても素敵な気持ちになった。
れんは今1人で頑張っている。
いや、ファンのみんなと頑張っている。
楽屋に足を運ぶれん、私がまだ制御できないほどの力で進んでいる。
戻る道には沢山のスタッフさん。
「お疲れ様です!」
「大成功ですね!」
などの素敵な言葉に、サラッとあしらうれん。
楽屋に戻り、れんとれんの中の私だけ。
テレビには、会場の様子がうつっていた。
れんはそれを見つめたあと、少し笑ってスマホを開いた。
とあるアプリを開いて、みんなのつぶやきを見ていた。
「今日は西武ドーム2日目!みんなのおかげで大成功しました!集まってくれた仲間たち!本当にありがとう✨」
なんて、イロトリドリのペンライトの色をバックに仲良さそうな集合写真と一緒につぶやきが。
アイコンはイラスト、名前の横には公式マーク。
れんと同じ歌を歌う人かな…?
れんはその写真をみて、
っとひとつ溜息。
きっと、きっと、
れんも、この輪の中に入りたいんだ。
一人じゃなくて、誰かと一緒に、
大きな会場を埋めて、
デュエットなんかしちゃって、
色々な色のペンライトが光って、
想像しただけで、
クラクラするような景色。
ふと名前を呼ばれ、ビックリする。
また溜息。
たいがとは…疎遠になっちゃったのかな?
なんか、私が全て壊している気がした。
れんはそう小さくボヤいた。
***
脅かすようにみやが出てきた。
そう私が冷たく言うと、わかりやすくしゅんとするみや。
今はそう頷くしか無かった。
れんは頑張っていた。
私がいなくなっていても。
素敵な未来を描いていた。
でも悲しんでいた。
れんには、友達が…
私はその言葉に首を振った。
元の世界に戻ったら、大人になるまでにまた私はこういった失態をおかして、れんやいぶ…そしてたいがにも迷惑をかけてしまうだろう。
そう思った。
すると次はみやが首を振った。
そしてふわっと飛んで私の上で浮かんだ。
そっとみやの綺麗な手に頬が包まれる。
みやの体温は冷たく、小さく震えていた。
そう言うと、ゆっくりみやの手が離れた。
みや…
何か企んだように笑ったみやに不意にもドキドキした。
すると私には赤黒く染った翼が生えた。
そう言ったみやに私はすでに心を奪われているということに…
私はまだ気づかないで、最後転生が_
始まろうとしていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。