生暖かい手。
私は私の目を塞ぐ奴に声をかけた。
手が離されそうになった瞬間。
病院のベッドに身体を起こした状態のまま、私は男の右手首を掴み、真下に振り下ろした。
授業で習った柔道がここで役立つとは…
振り下ろしたものの、するはずの鈍い音はしない。
私はゆっくり目を開けた。
知らない恐竜男。何故か浮いている。思っていたより美形。
男は、私の後ろの名前が書いてあるプレートを指さしそう言った。
みやは、ガオーとでも言うようにポーズをとった。
急に真面目なトーンでそう言うみや。
押せばいけそう。
私はみやを睨んだ。威嚇として。
みやはニコッと笑い可愛いポーズをとる。
知ってるっつーの…
息を呑む。
みやはそう言い、ウィンクをした。
みやはニヤッと笑い、空に浮いたまま私の元にやってきてそっと目を塞いだ。
***
ここは…どこ…?
ドラマでしか見たことないけど…キャバクラみたいな…ところのソファに知らない男と座っている。
私は周りを見渡した…人は…いない。
つまり2人っきり。
この知らない男と。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。