すると、頭が後ろにガクンっと重みで衝撃を与えた。
目が覚めた。
また白い空間にいた。
病院のベッドの上にいる。
手には点滴が。
どういうこと?さっきのは夢?
ただの妄想に過ぎなかった。
もう命が終わろうとしているのだろうか。
そう思うだけで、どこかに隠れたい気持ちになる。
こんな人生だったなら、
もっとこう。
同い年で都会のモデルでもやってるような子にでも。
すごい人と結婚して大富豪にでも。
はたまた大人気YouTuberにでも。
どこかの家で幸せで自由な人生でも。
ルックス完璧の大御所女優にでも。
武道館でライブできるぐらいの歌い手でも。
歩んでみたかったな。
楽なんだろうな。
こんな人間関係無いだろうし。
来世は、どこかの国のお妃にでもなりたいよ。
すると
後ろから誰かに目を塞がれた。
生暖かい手。
真っ白な空間から。
真っ黒な空間に。
何も…見えない。
***
知らない声で目が覚める。
ここは…?どこ?
目が覚めると_
私は謎のスタジオの鏡の前に座って、バッチリキラキラのメイクをして、可愛い服を着て、うさ耳をつけていた。
AKIRAって誰?
私は私じゃない。
私がAKIRA?
頭がこんがらがる。
私は近くで充電してあったスマホを手に取って、顔認証をしてスマホが開いた。
情報がありそうなアプリを開き、何か探す。
あった。
多分私の本名。『浦田 伊吹』
私は今…いぶの中にいるの?
鏡で顔を見る。
微かながらに感じられる面影。
いぶだ。
見知らぬスタッフさんのような人に肩を叩かれ我に変える。
私はAKIRAって名前のいぶだ。
軽く予想する。
私は今未来の世界のいぶになってるってことだろう。
スタッフさんにてくてくとついていく。
不安しかない。
この格好といい、これがいぶも未来ならどんなことやっているんだろうか、予想もつかない。
振り返るとthe モデルの撮影場所的なセットが広がっていた。
いぶは、モデルになってるってこと…?
外見はいぶでも、今の中身は私なわけだし。
撮影なんてそんな無茶な。
私はスタッフさんに背中を押され、無理矢理カメラの前に立った。
私は少しの間直立した。
動けない。
モデルのポーズなんか分からないし。
少し苦笑したスタッフさんが私にそう言った。
私は必死にポーズをとった。
ほとんどテキトーだけど、服が可愛く見えるように尽くした。
***
私はペコりとお辞儀をして場をあとにした。
私は荷物を持って外に駆け出した。
もう外は深く暗い。
大都会の中。見たこともない景色。
いぶの家もわからない…
私はとにかく、大通りまで出ようと小道を早足で歩いた。
とりあえず考えをまとめる。
私は今生命の狭間にいるんだ、きっと。
それで、何故か未来のいぶの姿になって今。
未来にいる。
いぶは、モデルになっている。
モデル…?
私さっき…
『同い年で都会のモデルでもやってるような子にでも』
って愚痴を言ったよな…?
そんなことを考えていると…
背後から誰かにつかれている気がした。
でも後ろを向いてもつかれているどころか、誰もいなかった。
そ、そうだ!スマホに聞けば家に帰れるかも!
私はスマホのマップを開き、自宅を設定した。
ここから約2.4km?!
歩きじゃ着かないじゃんか…
私は早足で大通りへの道を探した。
すると…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。