第23話

夢、
800
2019/03/17 06:30
すると、頭が後ろにガクンっと重みで衝撃を与えた。
目が覚めた。
また白い空間にいた。
病院のベッドの上にいる。
手には点滴が。
どういうこと?さっきのは夢?
ただの妄想に過ぎなかった。
もう命が終わろうとしているのだろうか。
そう思うだけで、どこかに隠れたい気持ちになる。
こんな人生だったなら、
もっとこう。
同い年で都会のモデルでもやってるような子にでも。
すごい人と結婚して大富豪にでも。
はたまた大人気YouTuberにでも。
どこかの家で幸せで自由な人生でも。
ルックス完璧の大御所女優にでも。
武道館でライブできるぐらいの歌い手でも。
歩んでみたかったな。
楽なんだろうな。
こんな人間関係無いだろうし。
来世は、どこかの国のお妃にでもなりたいよ。
すると
後ろから誰かに目を塞がれた。
生暖かい手。
真っ白な空間から。
真っ黒な空間に。
何も…見えない。
***
スタッフ
AKIRAさ〜ん?順番です!
知らない声で目が覚める。
ここは…?どこ?
目が覚めると_
私は謎のスタジオの鏡の前に座って、バッチリキラキラのメイクをして、可愛い服を着て、うさ耳をつけていた。
AKIRAって誰?
私は私じゃない。
私がAKIRA?
頭がこんがらがる。
私は近くで充電してあったスマホを手に取って、顔認証をしてスマホが開いた。
情報がありそうなアプリを開き、何か探す。
あった。
多分私の本名。『浦田 伊吹』
私は今…いぶの中にいるの?
鏡で顔を見る。
微かながらに感じられる面影。
いぶだ。
スタッフ
AKIRAさ〜ん?
見知らぬスタッフさんのような人に肩を叩かれ我に変える。
私はAKIRAって名前のいぶだ。
軽く予想する。
私は今未来の世界のいぶになってるってことだろう。
AKIRA.
AKIRA.
は、はい!
スタッフさんにてくてくとついていく。
不安しかない。
この格好といい、これがいぶも未来ならどんなことやっているんだろうか、予想もつかない。
スタッフ
カメラの前に立ってくださ〜い。
撮影始めますよ!
AKIRA.
AKIRA.
さつえい…?
スタッフ
あっちなみに、表紙です!
振り返るとthe モデルの撮影場所的なセットが広がっていた。
AKIRA.
AKIRA.
ひょうし…?
いぶは、モデルになってるってこと…?
外見はいぶでも、今の中身は私なわけだし。
撮影なんてそんな無茶な。
私はスタッフさんに背中を押され、無理矢理カメラの前に立った。
スタッフ
もうポーズとっていいよ!
AKIRA.
AKIRA.
ぽーず…
私は少しの間直立した。
動けない。
モデルのポーズなんか分からないし。
スタッフ
AKIRAさん、今日調子悪い?
少し苦笑したスタッフさんが私にそう言った。
AKIRA.
AKIRA.
い、いえ!
私は必死にポーズをとった。
ほとんどテキトーだけど、服が可愛く見えるように尽くした。
***
スタッフ
はぁ〜い、OK!
スタッフ
ありがとうございました〜
AKIRA.
AKIRA.
は…はい。ありがとうございました…
私はペコりとお辞儀をして場をあとにした。
私は荷物を持って外に駆け出した。
もう外は深く暗い。
大都会の中。見たこともない景色。
いぶの家もわからない…
私はとにかく、大通りまで出ようと小道を早足で歩いた。
とりあえず考えをまとめる。
私は今生命の狭間にいるんだ、きっと。
それで、何故か未来のいぶの姿になって今。
未来にいる。
いぶは、モデルになっている。
モデル…?
私さっき…
『同い年で都会のモデルでもやってるような子にでも』
って愚痴を言ったよな…?
そんなことを考えていると…
AKIRA.
AKIRA.
背後から誰かにつかれている気がした。
でも後ろを向いてもつかれているどころか、誰もいなかった。
そ、そうだ!スマホに聞けば家に帰れるかも!
私はスマホのマップを開き、自宅を設定した。
ここから約2.4km?!
歩きじゃ着かないじゃんか…
私は早足で大通りへの道を探した。
すると…
AKIRA.
AKIRA.
ん?!

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