第34話

大嫌いな君の靴、
605
2019/05/27 07:41
まひろ
まひろ
なんで…死んじゃったの…?
声が震えてる。
私だったらこんなこと聞く勇気はない。
お母さん
お母さん
先輩からの…
お母さん
お母さん
いえ…
お母さん
お母さん
私たち、関わった人…みんなのせいよ。
まひろ
まひろ
お母さん
お母さん
その先輩はある事故で命を失ったの。
一個上の先輩と揉めあって、そのまま…
お母さん…?は下を向いた。
その時に全て思い出した。
記憶が頭を追っかけてきた。
このお母さん…
お母さん
お母さん
その先輩はいつも「そうちゃん!そうちゃん!」って話しかけてくれた。
月崎…爽夏…「そうちゃん」だ。
お母さん
お母さん
でも私はそんな先輩が、
お母さん
お母さん
先輩が嫌いだった…
まひろ
まひろ
私のことが…嫌い…?
お母さん
お母さん
先輩は強がりだから…
まひろ
まひろ
…強…がり…
お母さん
お母さん
お母さんは悪い先輩の配下に置かれていたからよく、周りの見張りを任されていたの。もちろん、やりたくなかった。でもやらないと、ターゲットが私になるかもって、怖くて…
お母さん
お母さん
少し見張りをすると、見張りをしてた教室のドアからボロボロになった先輩が現れるの。一瞬辛い顔をする、でもすぐに「そうちゃんじゃん!?こんなところでどうしたの?あぁ、この傷?これは体育でやったの!気にしないで!」って。
お母さん
お母さん
痛みを感じさせなかった。全部抱え込んでいた。
お母さん
お母さん
たまに、ボロボロの先輩の中履きに「血」がついてることがあった。
お母さん
お母さん
どこから出たのかは知らないし、知りたくもなかった。
お母さん
お母さん
でも血が出ていようが出ていまいが、痛かろうが痛くなかろうが、先輩は笑ってた。
お母さん
お母さん
血のついた中履きを履いて笑ってた。
お母さん
お母さん
大嫌いだった。強がりな先輩も、血のついた中履きも。
お母さん
お母さん
でも1番大嫌いだったのは、止められなかった自分だった。
まひろ
まひろ
…自分?
お母さん
お母さん
そう、お母さん自身。
お母さん
お母さん
弱虫でちっぽけ。
お母さん
お母さん
お母さん
お母さん
お母さんはとにかく。
お母さん
お母さん
まひろにはね、こうなって欲しくない。
そうちゃんは、微笑んだ。そして屈んでまひろちゃんを抱きしめた。
その目には、じんわり涙が浮かんでいた。
お母さん
お母さん
人を虐めないで。
まひろ
まひろ
うんっ
お母さん
お母さん
人を傷つけないで。
まひろ
まひろ
うんっ
お母さん
お母さん
1人で抱え込まないで。
まひろ
まひろ
うんっ
お母さん
お母さん
辛かったらなんでも相談して。
まひろ
まひろ
うんっ
お母さん
お母さん
見て見ぬふりしちゃダメ。
まひろ
まひろ
うんっ
お母さん
お母さん
怖い時ほど勇気をだして。
まひろ
まひろ
うんっ
まひろ
まひろ
分かった、ありがとうお母さん。
お母さん
お母さん
じゃあ、行ってくるね。
まひろ
まひろ
うん。行ってらっしゃい。
***
みや
みや
ふぇ〜ん…なんて素敵な親子愛なんだ…
あなた

みやって…こういうの弱いのね…

みや
みや
そ、そんなことないし…
そう涙を拭きながらみやは、頬をふくらませた。
でも…そうちゃんもグルだったなんて…まさか…ね。
知らなかった。
ポスト事件の現場にそうちゃんがいたのは、きっと柿原先輩の命令だった…ってことかな…。
そう、信じたい。
みや
みや
「そう」ちゃんだけに?
あなた

みや、ウザいぞお前。

みや
みや
ごめん、
今のは自分でもどうかと思った。
人の心読めるからって、いろんなもん透かしちゃ、そりゃあ怒られるよね。
みやは、しょぼんと肩を落とした。
あなた

みや
みや
みや
みや
が、がおー…
みやが私の前まで飛んできて、そう言った。
あなた

何…?

みや
みや
な、なんか…

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