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第12話

林間合宿 1
やばいって!

この距離は近すぎる..っ。

下手に身動きはとれないため、手汗を握って必死に耐える。




____





今日は待ちに待った林間合宿。

やっぱり啓介がいない日々はつまらなくて、いつも何か物足りない。

基本、楽しみな事が始まるまでの時間はとても長く感じるのが人間の習性。

しかし、林間合宿までの一ヶ月はとても短く感じた。

心のどこかで寂しさを感じていたのだろう。

どうして、啓介に避けられているのかは未だに分からない。

だからしつこく話しかけるにもいかず、楓も同様だったようで..
何も進展なくあっという間に一ヶ月が過ぎてしまった。


「じゃあ整列しろー。健康チェックするから保健委員は前に来るように。」

「うえー、めんどくせー。」と前に行く委員を見ながら、何気なく楓の側へ寄り、そのまま楓の制服の袖を掴む。

「ん?空利、どした?」

「あ、いや..何となく楓の側にいたかった。」

そう言うと、楓は少し考え込むような仕草をした。

「何となくか....いつか絶対、恋愛感情で側にいたいって思わせるから。」

「ん、楓?」

最後の方が聞こえなかったため聞き返すが、楓は教えてくれなかった。


健康チェックが終わり、バスに乗り込む。

学校から合宿所までは一時間半くらいかかるらしい。

俺はバス酔いの心配はないが、楓は昔からバスが無理なそうで、着くまで寝ると言っていた。

俺の隣は崎田だ。

楓と隣じゃないことが少し残念だが、
まあ楓は俺の前の席のため別にそこまで不満は感じない。

バスが揺れだし、早朝のためカーテンを閉めているが出発したことが分かった。

と同時に前から寝息が聞こえてくる。


30分くらい経っただろうか。

俺も崎田も眠くなってきた頃、急に前からトンと肩を叩かれた。

「市川、悪いけど席代わってくんね?」

そう言ってきたのは楓の隣の鈴木スズキ

静かなバスに鈴木の声はよく響く。

「良いけど、何かあった?」

心なしか、鈴木の顔が赤い気がするのは気のせいだろうか。

「あの、さ。楓の、その..寝顔が綺麗すぎて、今にも襲っちゃいそうなんだけど..。」

「....えっ?」

言っている意味が分からず、思わず思考が停止する。

ようやく意味が分かり、そっと楓の顔を覗くと..

確かに、いつものあの楓とは思えないほど綺麗な寝顔をした楓がいた。

唇も無防備で、ぞわぞわとする感じが背中を走りぬける。

「なぁ、空利..頼む。俺、もう限界で..っ」

「あ、うん..」

バスが信号で停まったとき、席を立って前に移動した。

そして、楓を起こさないように元々鈴木が座っていた席に座る。

いつの間にか、バッチりと目が覚めた崎田も楓の顔を覗きこんで息を飲んだのが分かった。

夢を見ているのだろうか。

「ん..」と、時々楓の唸り声のような声が聞こえる。

そして、後ろから鈴木と崎田が
「おい、どっちが受けだ?」
「ついさっきまで俺も空利が断然受けだったけど、逆もありかもな..。」
等と、コソコソ意味の分からない会話も聞こえてきた。

改めて見ると..睫毛長いんだな。

唇も綺麗だし。

って、何考えてんだよ俺!

可愛いな、なんて。

__何だか居心地が悪くなり、少しでも体を楓から遠ざけようとしたその時。

「..んんっ」

「っっ??!」

なんと、俺の肩に楓の頭が乗っかってきたのだ。

この距離は、やばい。

下手に動こうとすると楓が起きてしまうため、体は勿論、指一本さえも動かせなくなってしまった。

_その時、急にペロッと首に生暖かい感触が触れる。

な、舐められたっ??!

驚いて身を引こうとすると、

「ダメ、空利..」

と、身体ごと俺の身体に倒れこんだ。

えっ、起きてる?

楓の顔を見るがしっかり目をつぶり眠っている。

これ、寝癖..?

ほとんど誰もしゃべらない静かなバスの中に、
俺の心臓が大きくドキドキと響いているような気がした。







__そのままバスに揺られて一時間。

ようやく到着したようで、バスの揺れも止まる。

と同時に、「ふ、わぁ~」と大きなあくびをして楓が起きた。

そして今のこの状況に気づいた途端、楓は瞬き1つせず固まってしまう。


それを見た他のクラスメイトに、
二人とも後で質問攻めにあったのは言うまでもない。


そして、楓の寝癖が超絶悪いということは俺の頭にしっかり刻まれた。