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第13話

林間合宿 2
「..相変わらずすげぇよな。うちの学校の合宿所って。」

「うん..」

先程の事件も忘れ、
俺と楓は目の前にある人工芝が敷き詰められた一流のグラウンドを見て感激する。

去年も同じ所だったのに、この完璧な設備には今年も驚かされた。

それに、去年建設中だった合宿寮が完成したため今年はそこに泊まれるらしい。

仮寮も随分豪華だったのは覚えているが、
新しい合宿寮はどんなものなのか..。


..この学校は色んな設備に凄いお金かけてる気がする。


_バス専用駐車場から歩くこと5分。

「で、でっけぇー!」

長谷川が叫んでる声が聞こえる。

俺は驚きすぎて声も出なかった。

「駐車場からは死角で見えなかったけど..、これは凄いとしか言いようがないよな。」

楓も目を一回もそらさず、合宿寮を見つめている。

「..凄すぎ。」

俺も、ようやく出た言葉がこれ。

「はいはい。お前ら感激するのも良いけど並べー。今から寮部屋の番号を振り分けるから、同じ部屋の奴と隣な。」

寮部屋は2人1部屋で、出席番号順で決めたため俺は今村イマムラと一緒の部屋だ。

今村は普段大人しいが、
楓によると男好きらしい。 

まあ、俺には関係ないと思うけど..。

「楓、じゃあまた後でね。」

そう言いながら片手を振りながら今村の方へ行こうとすると、
いきなりその片手を掴まれて楓の胸元に寄せられた。

そして、耳元に顔を近づけて来る。

「..何かあったらすぐに言えよ。本気で。」

「っうん..」

コクコクと何度も頷くと、楓はふっと笑って話してくれた。

学級委員が呼んでいるため走っていく。

いや、顔の熱を冷ますために走ったのかもしれない。



「部屋も広いっ、すごーい!」

先生に順番に案内されて、皆部屋に入っていく。

俺たちは最後から2番目に部屋を案内された。

6階の一番隅の部屋。

何故か、この階で唯一の二年生の部屋らしい。

その代わり、部屋も他の階にある部屋に比べてちょっと広いって言ってたからいいけど。

部屋の玄関はしっかりオートロックで、
その先には広々としたリビングが俺達を迎えた。

「ははっ、市川って意外とはしゃぐ方なんだな。」

「うんっ。今村も、この合宿中ずっと本読んでたら駄目だからねっ。
だって俺の話し相手がいなくなっちゃうじゃん。」

「っっ!あぁ..」

あれ、今村の顔なんか赤い..?

大丈夫かなと思いながら、俺達の部屋を探検しに行く。

シャワー室も広いなぁ。

ベランダからの眺めも凄く良いし。

「..ねえねえ。隣の部屋って3年生なんだよね?どんな人が入ってるのかな?」

何となく気になり、今村に聞いてみる。

「それは分からないけど..怖い先輩じゃなかったらいいね。」

「..じゃあさ!この荷物の整理終わったらちょっと見に行ってみないっ?一緒に。」

「あっ、あぁ。いいよ。」

あれ、また赤くなった?

何でだろう..。


荷物整理が終わり、
ガチャっと扉を開けて、まず二人で外に出てみる。

その時、隣の部屋も同時に開いた。

「なぁなぁ、可愛い奴だったらどうするよ。」

「ははっ、そんな二年いんの。
お、丁度隣の部屋の奴いた..ぞ..?」

その3年の先輩は、俺を見て二人とも固まってしまった。

あ、まず挨拶はマナーだよね。

「よ、宜しくお願いします..っ。」

一応しっかり頭も下げて、先輩たちの様子をチラッと見る。

「お、おい....可愛いじゃん!」

「去年こんな2年いたか?!」

いきなり、俺を見て騒ぎ始めた先輩たち。

それが聞こえたのか、
別の部屋の先輩も「何だ~?」と言いながらちらほら部屋から出てきた。

すると、皆同じように固まる。

10秒くらいして、ようやくその先輩たちも動き始めた。

いや、騒ぎ始めたの間違いだと思う。

どうしようと見守っていると、数人がこちらへ寄ってきた。

「なぁなぁっ。君、何て名前なの?」

その圧倒されるような空気に、思わず一歩後退りながらしぶしぶ名前を言う。

「へぇ、空利君かぁ。名前も可愛いねっ。」

よく分からないが一応お礼だけ言った。

_この先輩たち、何かちょっと苦手だ..っ。

お辞儀だけして部屋に戻ろうとすると、
急に腕を引っ張られて壁に押し付けられる。

「えっ?」

「ちょっと待ってよ..。なぁ、俺達と遊ぼーぜ?」

先輩の言っている意味は分からないが、
頭の中の警報が大きく鳴り響く。

今は楓もいないため、とにかく近くにいるはずの今村に助けを求めようとしたが、

「あぁ、同室の奴ならもう部屋に入ったぜ?」

嘘っ。

かなり、やばい状況かも..。

その時、ザザッと音がして放送のスイッチが入ったのが分かった。

「3年生は、食堂の使い方を説明するから二階の講堂へ降りてくるように。」

ブチッと放送が切れる。

「..残念。また今度な。」

「え、あ、はい..?」

どんどん周りの人が少なくなっていく。

早くこの場から離れたくて、急いで部屋の中に入った。

同時に、思わず溜め息が漏れる。


そして俺は、今回の事件で"先輩"は少し危険だということはを学んだ。

__


「_はぁっ??!」

「か、楓っ、声大きいって..っ」

昼食中。

食堂では班で一緒に食べれるため、勿論楓の隣に座る。

そして、さっきの事件の一部始終を一応楓に伝えたのだが..

「あぁ、悪い。それより、本当に何もされなかったのか?」

「あ、うん。大丈夫だよ..?」

思ったより心配されて、少し戸惑う。

「ハァ、何もされなかったのは不幸中の幸いとしか言いようがないけど..。
いいか?空利。もし今回のような事があったら、逃げるか大声で叫べ。この合宿中は俺も出来るだけ空利と一緒に行動するけど、さっきみたいに近くにいられないときもある。その時は、必ず知ってる奴と一緒にいろ。」

「知ってる奴?」

パッと言われ、頭によく浮かばず思わず問う。

「クラスメイトとか。」

「あぁ!うんっ。」

なんだ、普通にクラスメイトとかでいいんだ。

俺、なに難しい事考えてたんだろ。と思いながら目の前のうどんを食べ始める。

また楓から溜め息が漏れたのが聞こえた気がしたが、うどんに夢中だったため無視した。

_すると、急にドカッと俺の前に座ってきた人。

「相変わらず過保護だね~楓くん。んでお姫様はいつも通りの鈍感だね。」

聞いたことのある声に、思わず顔を上げるとその声の主は..

「じっ、仁..」

「やほ。二人とも俺が同じ班ってこと、忘れてたでしょ。」

「うん..。」

「素直っ。でも可愛いから許しちゃう~。」

仁のこのハイテンションも相変わらずだ。

あっ、仁の昼食。カレーだ..。

カレーも美味しそう..。

「ははっ、心の声駄々漏れだよ空利。
そんなに欲しいなら、一口あげようか?」

「えっ、いいの?!」

「いいよ?はい、あーん。」

えっ..

「自分で食べれる..」

「えぇ、自分で食べるならあーげない。」

「そ、そんな~!そこを何とか..」

「だ~め。ほら、いらないの?」

うぅっ..欲しいけど、あーんはやだ..。

目の前でめちゃめちゃ美味しそうにカレーを食べる仁。

カレーが食べたすぎる俺には、その誘惑に勝てる訳がなく..

「っ分かった!は、早く..っ」

「ふふっ、可愛いなぁ..じゃあはい。あ~ん」

「あ、あー..」

「東藤もいい加減にしろ。空利、自分のスプーンでなら食べて良し。」

え、本当?

仁の許可も取っていないのに、
すぐに自分のスプーンで食べてしまう俺。

「んっ..美味しい!!」

「ははっ、でしょ~?って邪魔しないでよ。楓くん。」

「うるせぇ。てか君づけ止めろ、キモい。」

「毒舌~。それより空利、さっきの話、困ったときは俺も呼んでね。君の隣の怖いお兄さんよりは階は違っても部屋近いし。」

「あ、ありがとう..」

話、聞かれてたんだ..。

何となく楓の方を見ると、

「こんな奴に頼らなくても俺が守るから。」

「ちょっと!こんな奴って酷いじゃんっ。」

「黙れ。」


..楓が守るって言ってくれて少しホッとしたことは、
仁にはバレないようにしなければいけない。