無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第16話

林間合宿 5
あれ...ここどこ?

意識ははっきりしてきたものの、体を起こすのが異常にだるく、目だけ動かす。

自分の部屋と同じ感触のするベッドに寝かされている。

でも周りは見覚えのない景色だった。

1つだけ、目に留まった見たことのある置き時計。

あれは確か、去年の啓介の誕生日に俺があげた時計?

「...空利...起きたのか?」

「あ、え...啓介...?」

本当に啓介かと思わず問うと、「偽物の俺がいるのか?」とクスッと笑われてしまった。

でも、未だに信じられない。

だって啓介とは最近仲違いの様になってしまっていて、
いつもは夢でしか喋れないからだ。

「身体、大丈夫か?」

「うん...?あっ...」

最初、何でそんなこと聞かれるのか分からなかったが、先程の事を思い出して顔が青くなる。

そんな俺に「もう大丈夫だから。」と背中を擦ってくれて、少し落ち着く。

「それよりも...、悪かった。今まで。」

「え...?」

「俺は最近、特に高校に入ってから。
ずっとお前を"そういう目"で見てた。」

"そういう目"がどんな目か理解するのに暫く時間がかかってしまった。

「本当に好きで、諦めることも出来なくて、ずっと告白してもいいのか迷ってた。でも空利は男で、言ったら絶対引かれると思ってたんだ。
そんなとき、空利が増岡達と身体を絡ませていたところを見た。凄く、衝撃的で...同時にお前の全部が欲しい、とも改めて強く感じた。」

ゆっくりと自分の気持ちを明かしていく啓介の目は本当に真剣で、目が離せなかった。

「それでやっと告白できて、気づいたら何故かお前のことを避けていた。自分から告白したくせに何だよ、って思われても仕方ないと思ってる。
空利はいつの間にか楓といるようになってて、内心お前を責めてた時もあった。東藤が来て、何かと距離が近いお前達を見て、ものすごい嫉妬にかられたことも沢山あった。
...告白した時、今は返事するなって言ったけど本当は違う。その場で返事が欲しかった。『俺も』なんて言って欲しかった。」

とても驚いた。

啓介がこんなにも俺のことを考えてたなんて、思いもしなかったから。

「本当に最低だと思う。こんな奴とお前が一緒にいちゃいけないのも分かってる。
それでも...、本心ではこれからも一緒にいたい。これまで通り友達のままでいいから。俺にはお前が必要なことはこの一ヶ月でよく思い知らされた。空利さえ良ければ、これからも一緒にいたい。」

啓介のこんな歪んだ顔は初めて見た。

俺だって啓介といたい。

"それは友達だから。相談できる相手だから。幼馴染みだから。"

俺はずっとそう信じていた。

...本当は、自分の本心を偽っているのだとしたら?

正直、自分の本心が分からない。

一つ確かになったことはある。

こんな中途半端な気持ちでは一緒にいられないってこと。

それは絶対に揺らぐことのない真実だった。

このままだと、何もかも崩れるような気がする。

啓介の歪みに歪んだ顔が、それをさらに物語らせていた。

自然に焦りだす。

その時の俺はただ単純で、ただ解決策だけを練って、後のことは考えていなかった。

そんな俺が思いついた馬鹿げた解決策。

「"この宿泊訓練中、恋人として過ごす"のはどう?」

その策が、後に俺の人生を大きく狂わすことになる。