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第10話

救世主。
只今、一時限目の最中。

増岡先生の数学の授業だ。

数学は得意な方。

公式さえ覚えてればテストはまぁまぁ解けるし、1番頭にすらっと入ってくるから。

..でも、今は集中なんて出来ない。

凄く近距離に東藤君が居るから。

授業の始め、東藤君が俺に教科書がまだ届いてないから見せてほしいと言ってきたのだ。

本当は頑固拒否りたいところだが、
そうもいかない。

仕方なく席を近づけて一緒に俺の教科書を見ていた。

あと20分..。

いつも早く感じる授業が、今日はとても遅く感じていた。


キーンコーンカーンコーン

やっと終わったー..。

脱力感が半端ない。

「市川くんありがとう。てか、空利って呼んでいい?俺のことも仁でいいから。」

「あ、うん。別にいいけど..。」

すっかり気が抜けてもう嫌味なんて感じれない。

でも..、

「じゃあ空利。次の授業も宜しくね。」

え、次の授業..?

そこから放課後まで俺の気の抜けない授業が始まるのだった。


放課後。

「空利。校内案内、してもらえる?」

あ、そう言えばそうだっけ。

頷いて俺が仁の前に行き、教室を出た。

一つ一つ出来るだけ早く、校内を案内していく。

やっと最後の階まで来た。

「で、ここが五階。この階は調理室とかしかないからほとんど使わないし..」

「ふーん。」

と頷きながら仁は俺の後ろを歩いているが、何故か後ろから視線を感じる。

思わず後ろを見ると、仁がじっと俺のことを見ていた。

「あ、何か聞きたいことある?」

「うん。」

「空利ってさ。彼氏いる?」

「は..?」

何、いきなり..。

てか俺男だし、彼氏って..。

「い、いるわけないだろ。俺男だし、彼氏とか..。」

「え、いないんだ。意外。」

はい?
本当に意味不明なんですけど。

悪いがこういう冗談にはついていけない。

「..?」

「そんな怖い目で睨まないでよ~。まぁ俺にとっては..、逆効果だけど。」

「逆、効果..?」

いきなり視界が歪んだ。

気づけば壁に押し付けられている。

「な、にを..っ。」

今まで以上に目の前にいる男を睨む。

「..ふふっ、いいね。その顔。..凄いそそる。」

いきなり両手を頭の上で押さえつけられ身動きが取れなくなった。

そして次の瞬間にはシャツを無理矢理脱がされる。

「いやだっ、離せ..っ。」

「..俺にはそうやって敵対心丸出しだよね。」

「本当に、こんな予定じゃなかったんだけど。変更。空利が悪いんだよ?
そんな可愛い顔してさらに睨んでくるなんて。..誘ってるも同然じゃん。」

「何言って..。」

冷や汗が背中を尋常じゃない量で流れてる。

怖い。

今から何をされるのか。

全てがスローモーションに見える。

その視界が涙でぼやけてくる。

絶望だった。

抵抗しても意味がないことは分かっている。

「ほんと、可愛い。..大丈夫。優しくするから。」

「や、だぁ..っ。」

ひた、と仁の手が俺の胸に触れる。

ビクッと俺の体が反応した。

くすぐったいような..、何ていうか分かんない感情。

ゆっくり撫でられ、何だかうずうずしてくる。

嫌なはずなのに。

体は気持ちよさを求めている。


とにかくもう駄目だ、って思った。


その時。

「おい、ここで待ってるから早く取りに行ってこいよー。」

「おう。てか、ぜってー怖いじゃん。」

向こうから微かに誰かの声がする。

聞き覚えのある声だった。

足音がだんだんと近づいてくる。

仁は全く気づいていないようだった。

ぴた、と足音が止まる。

「は?..空利?」

「楓..。」

仁の手も止まる。

明らかに焦っていた。

「..おい、早く空利を放せ。」

どす黒いオーラを纏っている楓はいつもとは全く違い、流石の仁も驚きを隠せない。

そして、観念したように仁はパッと俺を放した。

安心して思わずへたりと腰から座り込む。

チッと舌打ちをして、仁はその場から歩き去った。

「空利っ、大丈夫か?あいつに何された?」

必死に聞いてくる楓。

「だ、大丈夫。ちょっと触られただけだから..。」

「はっ?何処を?」

え..、と少し戸惑いながらも、
「胸とか..、上半身。」と素直に答えた。

楓はあからさまに顔をしかめる。

「..くそっ。あの野郎..。」

「か、楓..?もう、本当に大丈夫だから..。」

それより、

「..何で楓はこんなとこに?」

こんな人気のないところに来る人は滅多にいないだろう。

まあ、俺たちは例外として。

「あぁー!そうだった。教科書取り来たんだった。」

「すっかり忘れてたっけ。助かったよ、空利。」と肩をポンっと叩かれ、少し顔が赤くなる。

それが何故かは俺にもまだ分からない。