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第5話

保健室にて。
ダメだ。

冗談抜きでだるい。

体が鉛のように動かない。

理由は分かっていた。

きっと先生に言えば、「今時の高校生は睡眠時間も削って遊ぶのか」と言われるだろう。

だから我慢して俺はパスされたバレーボールを力いっぱい腕を動かしてトスで返した。

それでも飛距離などない。
ボールは力なく床へ落ちていく。

俺も、我慢の限界だった。

ボールと同じように力なく膝の力が抜け落ちて、床へ体が倒れていく。

そして、俺の意識は完全に途絶えた。



「ぅ、ん。」

見覚えのない白い天井。

俺はベッドの上に寝かされていた。

そしてようやく今、自分が保健室にいることに気づいた。

ゆっくりと体を起こす。

先ほどのように体が鉛のように重いとは感じない。
静かな保健室。

てか、誰もいない..?

窓から外を見ると、空がもう夕焼け色に染まっていた。

しばらくぼーっと、暗くなっていく空を見ている。

すると、
ガラッと保健室のドアが開き、中から入ってきたのは保険医の柴原先生(♂)だった。

「空利?起きたのか?」

「あ、はい..。」

全く喋ったことすらない先生にいきなり呼び捨てで呼ばれ、少し戸惑う。

しかし、そんな戸惑いを無視して、柴原先生は俺に近寄ってきた。

ふと、休み時間に起きた教室での出来事を思い出す。

ぶるっと寒気がした。

「一応、熱測ろうな。」

なんだ、熱測るためか。

体の緊張が一気にほぐれる。

だが、それも一瞬だった。

ギシッとベッドのスプリングが軋むのが聞こえる。

柴原先生はなんと俺に後ろから抱きついてきたのだ。

「え、ちょっ..先生?」

腕を動かして抵抗するが、全く意味のない行動だった。

ガタイの良い先生は俺を離さない。

怖かった。
何よりもう一度同じことをされるのではないかと思ったから。

「よし、熱はさっきよりは下がったな。」

え..?

「あぁ、悪い。体温計、壊れてな。体温測るにはこうしないとダメかなって。」

「え、あ、そうですか..。」

納得しようとしてもまだ理解できない。

て言うか、熱測るだけなら額に手を当てるだけで良くない?

まだ困惑している俺からやっと離れる先生。

とにかく無理やり頭の中で解釈する。

その後、先生は意識を失ったあとのことを説明してくれた。

「やっぱ一番は寝不足が原因だなぁ。」

「はい..。」

貧血だったらしい。

「あ、そう言えば、お前のこと心配して三村と橋本が来たぞ。」

「啓介と楓が..?」

「あとアイツも来た。増岡。」

「増岡って、増岡先生ですか?」

「あぁ。俺、アイツ嫌いなんだよなぁ。」

先生にもやっぱり私情はあるんだなって、苦笑いして返す。

すると、ガラッと入ってきたのは噂をすれば増岡先生。

「だぁれが嫌いだって?」

「うわ増岡。」

「てかお前のことはいいや。空利、大丈夫か?」

「あっ、はい。すっかり..。」

「そうか。なら良かった。」

にこっと微笑む増岡先生。

その笑顔に何だか恐怖を感じ、ぶるっと震える。

一瞬、先生の裏が見えたような気がするのは気のせいだと思う。