第11話

できないこと。俺にできること。
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2021/05/23 05:22
俺は何もできない。

主を慰めることも、撫でてやることも、声をかけてやるのも。
全部。

主は笑顔が取り柄だった。喋ることが好きでよく笑っていた。
だけどある日を境にその笑顔は作った笑いになっていた。

そう笑ってはいる。目は笑っていない。
苦笑い。感情のない笑い。

主は泣いていた。誰もいない部屋で一人。
俺は画面の中だ。主を見守ることしかできない。

ある時、主は何かを検索していた。
俺は主がいないときにこっそりと検索履歴を見てみた。
ゲーム関係や動画関係など主の好きそうなのばかり。
そのなかでひとつ

[消えたい]

という文字。

ふと思って調べた言葉なのかそれとも意図的に調べたものなのか
俺にはわからないが多分そう言うことなんだろう。

俺は考える。ここでできることを。

動画検索で目につきそうなのを置いておく
主の好きそうな画像も置いておく。
通知も来るように…

少しでも気が紛れるといいのだが。

俺は後願うしか方法はない。
言葉は届かないだろうけど

『主、どうか無理はされないでください。』

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