第3話

私なんて
66
2021/03/13 05:07
母親
あんたなんて…
生まれてこなければよかったのに
雨衣婁 (雨水 瑠菜)

私は…
何回この言葉を言われただろう…

わからない…

私は…どこで道を間違えたの?

生まれる前から間違っていたの?

私は…どうして生まれてきたんだろう…

私の家は荒れている…

理由は父さんだ…

父さんは酒飲みでギャンブル好き

私達を腹いせの道具にする

そんなクソ野郎

母さんが別れを切り出すと暴力を振るう…

母さんは別れられず…

母さんは…

いつからか私に当たるようになった…

でも私は責められなかった…

だって母さんは自分でどれだけ理不尽な事を言ってるか…

理解していたから…

だって母さんは…いつも…

泣いていたから…

自分が当たってるとわかってて…

別れないといけないとわかってて…

それでも出来なくて…

だからね…私は…

母さんを助けるために…

自分の身を削ったの…

雨衣婁 (雨水 瑠菜)
父さん…
父親
あ?
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
もう…やだよ…私が母さんの身代わりになる!私を使って?
父親
…いいぜ…丁度飽きてたんだ…お前をサンドバッグにしたいと思ってたんだよ…
母親
?!(どうして?!)
父さんが居なくなったのを見計らって…
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
母さん…逃げて?
母親
…あんた…私を…恨んでないの?
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
恨んでるよ…でも…それ以上に大切なの…だから…私を捨てて…逃げて…
母親
…(…でも…この子は…)
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
父さんが居ない今!チャンスでしょ?!
母親
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
大丈夫…私は絶対…逃げて見せるよ…
母親
…ごめん…なさ…い…
母さんが居なくなった…当然父さんは怒り狂って…そして…ついに薬物にまで手を染めてしまった…

そして…ある日…父さんは…

今までの悪事の…罰を受けることになった…
父親
ぁが?!…ぁ…ぁぁぁぁあぁアァぁぁあ?!
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
?!
父親
…た…すげ…で…
父さんはもがき苦しみ…

いつもの怒り狂ってる態度とは裏腹に私にすり寄り助けを求めた…
父親
だ…ずげ…て…ぐ…れ…だの…む…
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
ぃだ?!
どの口が…と思ったし

今までの事を考えたら当然の報いだとも思った…

私は最善の選択を取ることにした…
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
…(今なら…逃げられる…でも…このままここで死なせはしない…何年…何十年経っても償わせる…だから)
父親
?!ま…っで…
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
貴方を見捨てたりはしない…でも…貴方よりも私は自分を優先するわ!
父親
?…(これも当然だよな…そうだ…俺は…ここで…死ぬんだ…こいつはきっと助けには来ない…)
私は両腕に着いた四本の引っ掻き傷を無視し家を出た

そしてただがむしゃらに走り出した
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
ハァハァハァハァ…?!危ない!
ななもり。(七森 夜)
え?うわっ?!
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
…ハァハァハァハァ…ごめん…なさい…
ななもり。(七森 夜)
ちょ?!何その腕?!大丈夫?!
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
大丈夫…ですよ…
ななもり。(七森 夜)
何が?
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
実は…
説明した…

全て…
ななもり。(七森 夜)
なるほど…取りあえず手当てをしましょう!
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
…すいません…ありがとうございます…
ななもり。(七森 夜)
あの…お父様は…どうなさるんですか?
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
…警察と…救急車を呼んで貰えませんか?住所はお伝えしますから…
ななもり。(七森 夜)
?!助けるんですか?
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
…腐っても父親です…それに…法の裁きを受けて貰うためです…
ななもり。(七森 夜)
…わかりました…(この人は…強い…強すぎるよ…)
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
…あり…がとう…ござい…ま…す…
ななもり。(七森 夜)
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
ぁ…
ななもり。(七森 夜)
?!大丈夫ですか?!
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
…ごめん…なさい…限界で…
ななもり。(七森 夜)
休んでいてください…後は…俺が何とかしますから
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
私は初めて人の温もりを感じながら意識を手放した
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
…ここは?
薬品の香り

清潔なベッド

病院なのだとわかった
母親
瑠菜?!
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
…母さん…?
母親
ごめん…ごめんなさい…今まで…貴方にずっと…
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
…大丈夫だよ…私は…
母親
…貴方のその腕…一生…
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
わかってるよ…こんなに深く傷付いたら…一生…この傷が治らないことぐらいね…
母親
…私…貴方に…何てことを…
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
…いいの…あの時…逃げてと言ったのは私よ…それに…母さんが無事なら…それでいいの…
母親
…あの人は…
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
捕まったんでしょ?…よかった…あの人もきっと…根は悪くないから…
母親
どうして…そう言えるの?
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
母さんが結婚したんだもん最初はあぁじゃなかったんでしょ?
母親
…えぇ…昔は…あんな人じゃ…
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
…だから…それに…知ってるよ…ずっと矛盾に苦しんで泣いていた母さんを…だから…私は…自分を捨ててでも守りたいと思った
母親
貴方は…強すぎるわ…
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
…ううん…母さん…私を助けてくれた人は?
母親
警察署で取り調べを受けてるわ…事件ってことになるみたいだからね…一応連絡先だけ聞いておいたわ
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
…そう…お礼ができるのね…多大なるご迷惑をかけたのだから…
母親
私もしっかり謝罪しないとね…
ななもり。(七森 夜)
失礼します…あ!目が覚めたんですね!
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
あっ…あのときは申し訳ありません…ありがとうございました
母親
娘を助けてくださった貴方は恩人です
ななもり。(七森 夜)
そんなw…あの
母親
はい?
ななもり。(七森 夜)
少しお時間よろしいですか?
母親
…えぇ?
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
ん?(どっか行っちゃった…)
別室
ななもり。(七森 夜)
あの…
母親
はい?
ななもり。(七森 夜)
…貴方の娘さんを好きになってしまったって言ったら…怒りますか?
母親
?!
ななもり。(七森 夜)
…ごめんなさい…
母親
私から出せる条件はひとつです
ななもり。(七森 夜)
母親
誰よりも幸せだって思えるようにしてあげてほしい…それだけですよ
ななもり。(七森 夜)
?!…反対しないんですか?
母親
はい…あなたならきっと…あの子を好きで居てくれる…あなたならきっと…あの子を愛してあげられる…あなたならきっと…あの子を幸せにできる…信じてますよ?
ななもり。(七森 夜)
…ありがとうございます…
戻ってきた二人を見ると…
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
ん?母さんなんでそんなにニコニコしてるの?
母親
なんでもないわ
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
???まぁいいわ…あの!
ななもり。(七森 夜)
はい?
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
お名前と連絡先よろしいですか?お礼したくて…
ななもり。(七森 夜)
そんなお礼なんて
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
いえ!させてください!
ななもり。(七森 夜)
…わかりました…これです…名前は七森夜です
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
ありがとうございます…後日しっかりとお礼させてください
あれから目まぐるしい時は流れてやっとお礼を言える時間ができた
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
呼び出してしまってごめんなさい前のお礼です…つまらないものですが
ななもり。(七森 夜)
いえいえ!大丈夫ですよ?それよりも無事でよかった
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
…あの…私にできることありますか?
ななもり。(七森 夜)
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
これがお礼なんて…私に出来ることならなんだってします!
ななもり。(七森 夜)
…まだ…決まらないや…だから保留にさせて?
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
はい
ななもり。(七森 夜)
あとさ…
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
ななもり。(七森 夜)
タメ口じゃダメですか?
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
いいですよ?
ななもり。(七森 夜)
…僕だけじゃなくて
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
…?!わかった!
ななもり。(七森 夜)
よろしく!
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
?!…うん!
あれから数年の時が流れても私達の交友は続きある日相談を受けた
ななもり。(七森 夜)
俺さ…人を笑顔に出来る…人を救える…人を幸せにできる活動をしたくて…グループを作りたいんだ!
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
?!いいじゃん!
ななもり。(七森 夜)
…でね…
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
ななもり。(七森 夜)
あの時のお願い…今使いたいの
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
?!え?
ななもり。(七森 夜)
俺のやるグループ…入ってくれない?
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
?!勿論!
これが私のすとぷりの始まりだった
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
なーくん…ここまできたね…
あれから更に時は流れて…

私達は…

ライブを開くまでになった
ななもり。(七森 夜)
そうだね…長かった…いや…とっても短かったよ
ライブの時間はあっというまに流れて一人一人のコメント…

私の番がきた
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
私はなーくんに出会ってなかったらきっとこの景色を見ることは出来なかった…この腕で人に拒絶され続ける人生を送ってた…リスナーさんと出会って日々楽しいと言える人生もなかった…感謝してます…私は…私達は…これからもこのすとぷりで走り続けたい…これからも全力で!こんな私でも人を笑顔に出来るなら!だから!これからも!すとぷりについてきてくれますか?!
はーーい!
その一言で私はここに居て良かったってもっと思えたの…
雨衣婁 (雨水 瑠菜)
私に…生きる意味をくれて…ありがとうございます!
これからも

このメンバーと…

ずっとずっと…歩んでいきたい

今の私の…一つだけのお願いです
END

プリ小説オーディオドラマ