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第1話

記憶階段
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2021/02/17 03:45
ななもり。(七森 夜)
咲桜~?
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
はーい!
ななもり。(七森 夜)
?!咲桜危ない!
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
え?
ほんの一瞬の出来事…

私は意識を手離した。

最後に見たのは…
ななもり。(七森 夜)
咲桜!咲桜!
私の名前を呼び続けてる夜の姿だった。

ーーーーーーーーーーーーーーー
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
…ここ…は?…何…これ…
周りには私の小さい頃の記憶があった。

でも…
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
途中から…真っ黒…
私の記憶は10歳で途切れていた。
案内人
…目ヲ覚マシタノデスネ。
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
?!誰?!
案内人
私ハ案内人デス。貴方ハ記憶ヲ失クシマシタ。
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
記憶を…失くした?
案内人
貴方ハ事故ニ遭イマシタ。ソノ事故デ記憶ヲ失クシマシタ。
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
そんな…
案内人
私ハ貴方ニ記憶ヲ戻スチャンスヲ与エニ来マシタ。
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
チャンス?
案内人
今ワープサセマス。
私の目の前に突然現れた案内人を名乗る何か…

白色でシルエットは人の形だった。

喋り方はロボット見たいで、私が記憶を失くした時の情報を教えてくれた。

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案内人
…後ハ…貴方ガ決メル事デス。
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
…看板?…えっと…
ここは記憶階段。

貴方が失くした記憶は約5年分です。

その記憶は階段になっていて、1日を1段として365×5で、1825段あります。

ここでは疲労も睡魔も痛みも食欲も全て訪れない。

登るのなら体感時間では5時間位。

でも、現実世界では5年経っています。

後ろにある現世の戸を開くと、現実に戻されますが、記憶が戻ってるかは賭けになります。

そして登るなら注意して欲しい点。

一度足を踏み入れたらどんな残酷な記憶を見ても後戻りは出来ません。何が有っても登りきって下さい。

そして階段を登るうちにある窓は現世の覗き穴と言います。

その名の通りその窓を覗くと現実の自分の様子を見れます。

残酷な記憶を見るかも知れない…

貴方はそれでもこの階段を登りますか?

渡部 咲桜 (わたべ さくら)
…登るしかないじゃない…この階段ね…
こんな事を書かれては少し怖いと思ってしまう。

それでも私は何か大切な事を忘れてる気がするの…

なら…進むしか無いんだから。

私は…階段に一歩足を踏み入れた。

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一段一段登る度に頭に入ってくる記憶は子供らしく遊んでいたり勉強してる姿、記憶だった。

でも、その記憶は…突然変わった。

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渡部 咲桜 (わたべ さくら)
愛理~!遅いよぉ!
神風 愛理 (かみかぜ あいり)
今行く~!
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
?!愛理!後ろ!
神風 愛理 (かみかぜ あいり)
え?
親友愛理を後ろから誰かが刺していた。

愛理は血を流してその場で倒れた。

春の出来事。

桜が綺麗に散っている頃。

愛理の周りに散り、落ちてきた桜の花びらは、綺麗な桜色から、赤黒い血の色に姿を変えた。

刺した犯人は私の顔を見てから逃げた。
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
愛理!愛理…嘘って…言ってよ…
神風 愛理 (かみかぜ あいり)
頑張って止血しても愛理の血は止めどなく溢れる。

止まる事を知らない血は溢れて溢れて、そして…愛理は病院に運ばれても…目を覚ましてはくれなかった。

愛理は死んだ。

ーーーーーーーーーーーーーーー
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
ぁ…嘘…
私は思わず歩みを止めた…

でも、ここは現実じゃない。

悲しくても涙すら流せない。

それに何が有っても戻れない…

進むしかないんだから…

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渡部 咲桜 (わたべ さくら)
…ここは…確か…現世の覗き穴…だったわよね…覗いてみよ…?!
ななもり。(七森 夜)
…咲桜…早く…早く…帰ってきてよ…
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
よ…る…私頑張るから!
ーーーーーーーーーーーーーーー

私は歩みをもう一度止めてから…

深呼吸して…

足に力を入れて…

がむしゃらに上がり出した。

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渡部 咲桜 (わたべ さくら)
…ふぅ…疲労は感じないけど…疲れた感じがする…
私は階段をかけあがりきっていた。
案内人
オ疲レ様デス。
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
案内人
貴方ヘ私カラ説明ヲシマス。
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
…その前にいい?
案内人
ナンデスカ?
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
…貴方…何者なの?
案内人
…私ハ…案内人兼、貴方ノ親友デスヨ。
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
え?
白い人の形をした案内人はひび割れて…

そして…

完全に割れた…

目の前には…

先ほどまで案内人だった白い人の形の何かは

私の親友…愛理になっていた。
神風 愛理 (かみかぜ あいり)
…咲桜…
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
あい…り?
神風 愛理 (かみかぜ あいり)
咲桜…夜君と結ばれちゃったかぁ~
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
え?
神風 愛理 (かみかぜ あいり)
私達幼馴染みだったじゃない?私夜君好きだったのよ?
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
えぇ?!
神風 愛理 (かみかぜ あいり)
…でも、私死んじゃったし…それに…嬉しいわ…
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
…愛理…
神風 愛理 (かみかぜ あいり)
最後に…咲桜と話せて良かったよ…行きな?その扉の向こうで…夜君待ってるよ…
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
もう5年も経ったんでしょ?…もう…新しい人見付けてるよ…
神風 愛理 (かみかぜ あいり)
…ごめんね?
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
ん?何が?
神風 愛理 (かみかぜ あいり)
大丈夫!5年なんて経ってないよ!
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
え?ちょっと?!愛理!どういうk
神風 愛理 (かみかぜ あいり)
またね…咲桜…
私は真実を告げられないまま扉の向こうに押し出された。

最後に見た親友の顔は…

とても微笑みを浮かべていた。

ーーーーーーーーーーーーーーー
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
…ここは?…病院?
ななもり。(七森 夜)
?!咲桜!
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
…夜?
ななもり。(七森 夜)
あれから一年近く眠ってたんだよ…
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
…え?一年?
ななもり。(七森 夜)
うん…待ってたんだから!
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
…?!
窓を見ると私が事故に遭った日、愛理が事故に遭った日と同じように桜が咲き始めてる季節だった。

私が桜を眺めていると…

目の前に少し透けた愛理が現れた。
神風 愛理 (かみかぜ あいり)
…5年も経ってないよ…あの世界は何が有っても現世の1年で終わるように細工してあったの…
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
?!
神風 愛理 (かみかぜ あいり)
…夜君と末長くお幸せに…お土産話期待してるよ~じゃあね
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
…ありがとう…
ななもり。(七森 夜)
え?
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
何でもないよ!
それから私はリハビリをして退院した…そして今は…
渡部 咲桜 (わたべ さくら)
どーも!すとぷりの赤紫担当愛理でーす!
すとぷりの紅一点として夜…いや…なーくんと…皆と楽しく活動してる。

今も春になるとあのときの事を思い出す。

あれは少し肌寒い春に起きた話。

私が体験した奇妙な話。

でも…

私は昔も…今も…これからも桜が好きだし…

私はこの事を墓場まで持ってくつもりだ…

ありがとう…

二人とも…

END

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ここからはあとがきです。話がよくわからなかった人。

話のお復習がしたい人。

話の内容を深めたい人はこの先をご覧下さい。

まず主人公咲桜は夜(なーくん)とデートしてる途中で事故に遭いました。

次に目を覚ますと周りには自分の記憶が写し出されてました。

ですがそれは10歳以降からは見れませんでした。

案内人が突然姿を現しました。

案内人は人の形をした白い何かでした。

案内人は事故に遭って記憶を失くした。失くなった記憶を思い出せるチャンスをあげると言いました。

そして案内人は記憶階段のある場所にワープさせました。

階段を登らず後ろの戸に入ると記憶を持ってるか持ってないか一か八かの状態で元の世界、現世に戻ります。

階段を登っても登りきったら5年と言う月日が流れている。

そんな中で咲桜は記憶階段を登る選択をします。

ですが途中で親友愛理の死を思い出します。

そのあとすぐに現世の覗き穴と言う窓を見つけます。

覗くと夜が側に居てくれました。

それを見て決意を固めました。

階段を一気にかけあがり、無事に頂上へ着きました。

頂上には案内人が居ました。

案内人に咲桜は正体を問うと案内人は自分の正体は案内人兼親友だと回答しました。

すると案内人の人の形をした白い何かだった容姿は、

亡くなった親友愛理の姿になりました。

愛理は自分の思いを語りました。

そして愛理は自分の嘘の真実を告げきる前に無理矢理咲桜を現世に戻しました。

咲桜は目を覚ますと桜が咲き始めてる季節に目を覚ましました。

夜に聞くと一年寝てたと言われて疑問を抱きます。

すると咲桜の前に半透明の愛理が現れました。

愛理は自分が嘘を着いていたことを告げます。

そしてそのあと愛理は姿を消しました。

咲桜のありがとうと言うセリフは、

一年待っていてくれた夜へと記憶を戻す手伝いをしてくれた愛理、二人への感謝でした。

そしてそれから月日が流れて咲桜はすとぷりの赤紫担当、紅一点として活動。

活動名は愛理になっています。

私はこの事を墓場まで持っていくというのは…

このときの事を忘れないと言う意味です。

最後の二人への感謝はあの時に言ったありがとうと同じです。

以上が作品のあとがき?です。

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