第3話

好きというには
恐怖で人は動けなくなるとは本当で、このままじゃお腹にヒットしてしまう。
それでも、迫り来るボールが、怖くて、足が、動かない。
どう、しよう。
迫ってくるサッカーボールの痛みに耐えようとぐっと目を瞑り、痛みに耐えるも…






その痛みはやってこなかった。
夏鈴(かりん)
し、ののめ、せん、ぱい…?
新(あらた)
怖かったね、大丈夫だからね
なんと。
東雲先輩が直前で蹴り返してくれたらしい。

そしてその後先輩は私に向き直って目線を合わせて、ゆるりと右手で手を繋いで左手で私を安心されるように肩を撫でてくれた。
夏鈴(かりん)
ありがとう、ございます
わたしのお礼にうん、と微笑んで、歩き出す直前に頭を撫でた。
かっこいい。
先輩はずるい。
こんなことをサラリとやって退ける先輩が好きな人は他にもいる。
気持ちは伝えないとはいえ、あわよくば付き合えたりなんて考えていた私は。私は。

恥ずかしさと先輩のかっこよさで赤くなる顔を隠すように下を向いているといつの間にか教室に着いていたようだ。
白石先輩
じゃ、授業頑張れよ〜
新(あらた)
またね
にっこり笑う2人に手を振って教室に入ろうとした矢先
新(あらた)
あ、夏鈴ちゃん
新先輩に呼び止められる。
夏鈴(かりん)
はい?
新(あらた)
今日の放課後、俺の教室来てくれる?話したいことあって
私が分かりましたと言い終わる前に鳴る予鈴。
先輩はヤバっと言った後、私に手を挙げ、じゃあと去っていた。
やばい。
どうしよう。
こんなの、期待してしまう。
烏滸がましいにも程があって、それでも、嬉しい。