第2話

雪柱の憂鬱
2,836
2024/02/01 18:06
朝________。

眩しさと朝の冷え込みに怯え、芋虫のように包まる。

出たくない、起きたくない、布団と結婚したい、と懇願するも、その夢は叶わない。

廊下を走る音が聞こえ、部屋のフスマが勢いよく開くと、「スゥ───ッ。」と息を深く吸い込む音が聞こえ、私は身構えた。
月子(ツキコ)
師範シハンん"ん"ん"━━━━━━━!!
起きてください━━━━━━━!!起きてください!起きてください!起きてください!!
雪華(貴方)
うるさい…なぁ〜。絶対やだ…お布団と結婚したから離さないよ。
月子(ツキコ)
何、馬鹿な事を言ってるんですか?!師範!今日は柱合会議ですよ!そんなんだと煉獄さn……((はいはい。
雪華(貴方)
まだ朝の五時だけど?おやすみ〜
月子は布団を引っ張るも、さすが柱と言わんばかりビクともしない。そう…この芋虫では無く、尊敬しているであろう師範は、柱。


””雪柱・雪華あなたである。””
月子(ツキコ)
師範...あのですね?貴方、私に昨日、5時に起こせと仰りましたよね!?「私と朝の稽古するから」って!
雪華(貴方)
スヤァ…...
この野郎…と月子は怒りを抑えつつ、例の奴を呼ぼうと嫌ぁな笑みを浮かべる。
月子(ツキコ)
仕方ありませんね?
慣れた仕草で指をパチンッ!と気持ちよく鳴らし「お願いします。」と、バサバサ羽の音が徐々に近づく。
鎹烏❄
グァァアッーーー!グァァアッーーー!!
あなた!!オキロォー!
鎹鴉カスガイカラスが部屋に入るや否や、芋虫状態の師範に向かって、上から突く。
雪華(貴方)
(痛くないもんね〜)
しかし、鎹鴉は諦めない。目を光らせ、物凄い速さで、キツツキの如く布団を突く…遂には布団に、穴が空き、そこからモゾモゾと侵入する。
鎹烏❄
ミーツーケータァー!!あなた───!覚悟───!!オ命、頂戴致ス!!
雪華(貴方)
ギャァァァアーー!!痛い痛い痛い!ギャァァァアーーー!
外から見ると、布団はボコボコと暴れだし、師範の悲鳴が部屋に響き渡る。ついに、タマらず布団を脱ぎ捨て、逃げようとするが鎹鴉は容赦なく、足元や尻を突く。
雪華(貴方)
分かったっだか"ら"!!(グェ!)ハァハァ...全くこの、鬼畜鴉め...。
鎹烏❄
グェ〜!ハナセハナセー!
雪華(貴方)
ハァ…ハァ...離すよ。起きるからもう追いかけないで!
鎹烏❄
見張ッテイルカラナ!あなた!
適当に返事をして、手を離し、そのまま身支度を眠そうに済ませる師範。廊下で待っていた私に、あくびをしながら、屋敷内の道場に移動するようにウナガす。
月子(ツキコ)
師範、よろしくお願いします。
雪華(貴方)
よろしく月子…眠い…...ふぁ〜
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月子と刀の稽古をして、2時間が経った。
道場の上にある時計を見ながら、月子の様子を見る。
雪華(貴方)
そろそろ終わりにしようか。
月子、呼吸をしっかり集中させて、乱れてる。それが出来ないと全集中、常中は出来ないよ。
月子(ツキコ)
はい、師範…ハァハァ…すみません。
雪華(貴方)
...何があっても、必ず呼吸の意識をする事。だけど、足と腕の筋力は上がってるよ?個人の鍛え方は問題ないと思うから頑張ってね。
月子(ツキコ)
ありがとうございました!!
月子は雪華に、頭を下げ、2人は身なりを整える。
月子(ツキコ)
師範、お化粧整えさせてもらってもいいですか?
雪華(貴方)
いいよ〜自分でするから〜。
月子(ツキコ)
駄目です、させてください。
雪華(貴方)
分かったよーじゃあ任せる〜。
師範は汗を吹き、着替えを終えると、化粧台の前に座る。「失礼します。」と私は白粉オシロイを手に取る。
月子(ツキコ)
師範は...今日、柱会議終わりましたら、また任務に行かれるのですか?
雪華(貴方)
まぁそうだろうね。
月子(ツキコ)
そう...ですか...。
白粉を整え、紅に筆をつけ、師範の唇に色を飾る。師範の母上は元、吉原遊廓の花魁だった。私もあそこにいた時期はその、名前を知らないものは居なかった。

本当に師範は、鬼殺隊に居るのが勿体ないと思うぐらい、母上に似て整った顔立ちをしていらっしゃる。
雪華(貴方)
...?どうしたの月子?
月子(ツキコ)
え、あ...すみません。ちょっと目を話してました。少しはみ出しましたので、整えます。
雪華(貴方)
ありがとう。ねぇ、月子。
月子(ツキコ)
何ですか師範?
雪華(貴方)
...月子は死なないでね。休みが出来たら、稽古はなるべく付けるから。
師範から久しぶりに聞いた、「死なないでね。」と言う言葉と、何とも言えない哀しい笑顔に、私は「大丈夫ですよ!」と強気な口調で訴えた。
月子(ツキコ)
師範の継子ですよ、私?
まだ...改善点は色々ありますが、自身でも稽古はしてるので!安心して任務に行ってくださいね。
雪華(貴方)
月子、ありがとう...。さて、朝ごはん食べたら、私は柱会議に行かないとね〜。月子もしっかり食べて、力つけないと。
月子(ツキコ)
はい...!
部屋を出て、居間の方へと足を運ぶ。
すると魚の香ばしい香りと、米の胃袋を付くような匂いに、2人は誘われ台所へと顔を覗かせた。
月子(ツキコ)
師範〜今日はなんですかね〜。
お腹すきました私。
雪華(貴方)
うひひ〜もうご飯はできてるのかな2人共?
お皿に綺麗に盛り付ける2人がこちらに気づき、笑顔で答えた。
桜愛(サクラ)
もう出来てますよ。月子さん、あなた様。お持ちいたしますので、居間でお待ちください。
雪華(貴方)
じゃあ、月子今に行っとこうかぁ〜
真桜(まお)
あなた様のお好きな揚げ出し豆腐もありますので、ふふっ〜ん♪︎
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居間で師範と待っていると、すぐに朝食が運ばれてきた。
雪華(貴方)
うわぁ〜美味しそう。朝からありがとうね愛桜サクラ真桜マオ
2人の頭を撫で、久しぶりの師範との朝食に笑みがこぼれた。

朝食を私よりも早く済ました師範は、食べた皿を台所に持っていこうとしたが、2人に止められ取り上げられてしまう。
雪華(貴方)
そんな気を使わなくてもいいのになぁ〜。まぁいいか。そろそろ、行かないとな...。
月子(ツキコ)
師範、柱会議終わり次第、時間があればまた色々と連絡をお願いします。
雪華(貴方)
連絡ぐらいするよ〜。じゃあ、私は行くから。
月子(ツキコ)
師範、行ってらっしゃいませ。
桜愛(サクラ)
行ってらっしゃいませ。あなた様。
真桜(まお)
行ってらっしゃいませ!
雪華(貴方)
じゃあ、行ってくる。屋敷の事は頼んだよ、3人共。
扉を開け、気づくと師範は小さく見えていた。

師範、貴方は本当に...私の尊敬する師匠で、柱です。

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