ソユンside
無人島にきて3週間。
私たちは、フリを覚えきった。
ホシさんたちが付きっきりで練習に付き合ってくれるのもあって、
完成度は上がってきている。
それに、これがテレビで放送されているのもあって
私達の注目度、人気も上がってきた。
ジュンさんだって疲れているだろうから、
私は遠慮する先輩達を押し切り下に降りた。
階段をおりると、
ソファーに座って誰かと電話していたスンチョルさんがいた。
私の足音に気づき、振り向いて微笑みながら
お疲れ様、と言ってくれる。
スンチョルさんは、私達のことをよく見てくれている。
やっぱりすごいな。
私もこんなリーダーに_______
私は冷蔵庫を開け、
残りのペットボトルの本数を数えながら
8本取り出す。
そしたら、後ろから手が出てきて、
それがスンチョルさんだと気づくのにそう時間はかからなかった。
私の腕から4本かっさらい、
眩しいほどの笑顔を向ける。
…この人はいつもこんな感じなのだろうか。
あの人は、いつもこの優しさを受けているのだろう。
知ってるよ。
練習生から一緒なのも、
厳しいレッスンも乗り越えてきたのも。
.
私はこれ以上この話をしたくなくて
それより行きましょ、とスンチョルさんを急かしながら
階段を先に上がっていった。
________私があの時受かっていたら。
SEVENTEENとしてデビューできたかもしれないのに。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!