あなたside
さっき、ハオが私達に話した事を
皆にも話した。
ユジョが、勝手に宿舎に入ってきた、
…かもしれない話。
鍵を閉め忘れることはないし、
鍵を盗られたわけでもない…
皆の中にジュナがいない。
誰かにかぶって見えないんじゃなくて、
本当にここにいない。
グッと親指を立てて、私達の輪から抜けて
廊下に消えていった。
うーん、スペアキー盗られたとか?
ソファの前にあぐらで座っているジフナは、
床を見つめたままそう言った。
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ウォヌはメガネを指でかけ直しながら、そっか、それだ、と呟く。
ジフナも頷いて、私たちの方に目をやった。
ごめんなさい…
私が言い出したから推理が進んだのに、
初めに戻っちゃった…
そうだった…ごめんなさい…
そんなに睨まないでよウジブ…
私達が、また唸りながら考え出した時。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!