彼が出ていって、ベランダから
渋谷方面を見つめた。
大きな帳が、私の目にも視えた。
もぅ、涙はでない。
ー5年前ー
嫌いじゃない、そう聞いた時涙が溢れそうだった。
制服を着た二人が笑い合う。私は好きだった。
二人の仲には介入できないなーって。
羨ましくも、妬ましくも思った時もある。
お互いが唯一無二であり
悟と傑さんの望む未来は、
ずっと呪術師としての在り方だった。
優先すべきも。
私は、ずっと2番目でいい。
昔から、妙に腑に落ちていた。
ー21:15ー
ベランダで帳を見ながら、色んなことを
思い出していた。
彼が出て行って、どのくらい経つかな。
意外とスグに終わって帰ってくるかも。
もしかして、に賭けて何か美味しい物を作ろうかな。
私は、彼の帰りを待ってる。
帳の外で悟の帰りを、ずっと待ってる。
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ー獄門彊の中ー
こっから出れんの100年後?1000年後?とか言ってたよな。
なっげーの。
キミは私のことなんかいいからって言ったけどさ
僕も、同じだよ。
だから、平和な顔して笑っててよ。
絶対帰るからさ、
僕が大好きな皆、頑張って。
ーendー
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。