ーマンションー
映画観たり、なんて事ない時間を過ごした。
あなたが笑うと、平和だな〜って気持ちが和む。
こうして過ごすの久しぶりだね。
明らかにアクセサリーのBOX。中には
キレイなネックレスが入っていた。
今まで、誕生日を迎えてもプレゼントされた事は
なかった。
彼氏なんて、あらためて言われると…
嬉しくて、照れくさかった。
いや、ホントに面倒なことが起こりそうなんだよね。
あなたに話そっか。どうするか。
こいつの事だし、言うこときかねーだろーな。
僕としては、東京を離れて欲しい所だけど。
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ー寝室ー
もしも、僕に何かがあったとしても
キミは平和な顔して笑っててよ。ね?
僕の立場上、ずっと辛い思いをさせちゃうし
君だけを守るって、キレイ事も言えない。
側にいることも、助けに行く事もきっとできないから。
呪術の世界は不幸じゃないけど、幸せでもない。
普通に人生送るなんてシナリオは存在してないし。
けど僕が恋愛を経験するなんて、考えたこともなかった。
キミがただ微笑んでるだけなのにさ、なんだろ
ちょっと幸せ感じてんだよね。オレがだせ?
なぁ、オレさ人間て感じしね?傑。
傑さんも、そう言ってたな…
ー10年前ー
私は、離反した傑さんの元へ行こうとしていた。
宿命は前世から定められた運命、避けて通れない。
傑さんの宿命の中には私は存在しない。
初めから、夢だったと思えば傷付かずに済む。
私は諦めるしかなかった。
それしかなかった。
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ー5年前ー
あなたと再会した。
学生の時の気持ちとかはそれまで、忘れてたし
ガキんちょの世話
実家の当主になった事もあって忙しくしてた。
硝子から誘われた時に、あなたの名前を聞いて
傑の記憶と共に蘇る。
何も変わってなかったあなたは
僕の、あの頃の気持ちを徐々に呼び起こした。
その時には、目が離せなかったんだ。
階段から落ちた時の記憶が
気付いたら抱きしめてた。
彼女を近くに感じた時に、離したくなかった。
調子に乗ってたのは、僕だった。
ビックリするよな。そうだよね。
久しぶりの再会で、いきなりこんなことされたらね。
でもね、気持ちを口にすることができなくてさ
これが精一杯の僕の気持ちだったんだ。
高専時代の記憶を封印していた重い蓋。
傑さんとの事、五条さんへの気持ちも、全部。
抱きしめられて、全てが解き放たれた気がした。
僕の背中にあなたの手が回った。
泣いた理由は僕には分らなかったけど
一人じゃ寂しかったのかもね。
きっと、僕も。
ー寝室ー
こうして何事もなく、平和でいれるなら
私は宿命も、運命もいらない。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。