第3話

最初の恐怖
38
2023/09/09 09:58
あなたside

廃病院の中に入ると一気に空気が冷たくなった。
病院特有の消毒の匂いがする。
中は誰かに荒らされたみたいにぐちゃぐちゃ。
病院って感じのものが沢山散乱してる、
それに、壁には落書きだらけで気味が悪い。

なにこれ……絶対やばいって。

達『やっぱ雰囲気バッチリやな。』
晴『んね、最高。』
太『思ったより綺麗じゃん。』

太我……綺麗じゃなくない、?
私達は奥へと足を進める。

"帰れ!!!"

晴『うぁぁぁっ!?』
「いやぁっっっ!」
達『……今の聞いたか、?』
太『聞いた。これ絶対やばいって!不味いよ。』

みんな同じ女の人の声を聞いたらしい。
あまりにも怖くてしゃがみこんでしまった。
顔を上げると少し遠くではるくんが腰を抜かしてた。

達『あなた大丈夫か、立てる?はるも。』
「ん、ちょっとびっくりしただけ。」

達也くんの手を借りて立ち上がる。
私を心配する達也くんも顔色がさっきより悪い。
やっぱりここやばいんじゃないの、?

晴『だぁぁっ!?』
太『はるどうした!?』
晴『いま、今……そこの注射器が動いたの、』
達『ほんま?そんな風には見えんかったけど。』

はるくんの方に近付こうとする。
その時、私の足元の薬の瓶が動いた。

「ひぁっっ!?見た、?動いたよね……?」
達『見た。今風吹いてへんよな?』
太『待って!?こっちも、やばいやばい!』

太我の近くの点滴スタンドが倒れた。
大きな高い金属音が病院の建物の中に響く。
怖い、助けて。

パキ、
何処からかそんな音が聞こえた。
なにこれ……ラップ音、?
どんどん音が増えて、大きくなる。

達『……流石に、やばいんちゃう。』
晴『これ逃げた方がいいって。』
太『早くこっから出よう。』

走り出した3人がどんどん小さくなる。
置いて行かれる、どうしよう。
達也くんが立ち止まるのが見えた。

達『俺、あなたと後から行くからはると太我は先に
行ってな。出たところで合流しよう。』

達也くんに手を引かれて走る。
早すぎる。
でも不思議と怖くない。

先に出口に着いた2人が大声を出す。

太『達也くんやばい!どうしよう、』
達『どうした?』

見覚えのある風景。
でも、どこか違和感があった。

晴『出口が無いの、』
達『は……?嘘、やろ?』

私が入ってきたはずの場所がなくなっていた。

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