ーーーーカリカリカリ、、
ーーーパラ、
矢野『………ん?何か分からないとこあった?』
私「ん!?ううん!?大丈夫!」
あっという間に放課後になり、
静かな教室で矢野くんとふたりきりです。
席が前後の私たちは机を向かい合わせて、
私は英語の復習を、
矢野くんは難しそうな本を読んでいます。
て、
何この状況!!
緊張してシャーペン持つ手が震える…
なんて考えてる私をよそに、矢野くんは気にもとめない様子で本をペラペラとめくって読み進めている。
私「その本面白いの?」
矢野『うん、面白いよ』
私「東野圭吾?」
矢野『うん。貸そうか?』
私「いや、大丈夫 (難しい本読めないし)」
矢野『そっか』
そしてまた矢野くんは本に視線を落とす
借りた方が良かったかな!?
話の口実になるし、、
いやでも難しい本は読めないし…
て、
何考えてんだわたし!?
別に話の口実なんて見つけなくて良いのに!!
それにしても、、、
矢野くんの手って綺麗だなー
とてもバスケしてるような人には見えないくらい
細くて長くて綺麗。
矢野『………やっぱり分からないとこあった?』
私「え!?」
矢野『なんかさっきからこっち見てるから…聞きにくいのかなって思って』
見てるのバレてたーーーー!!!!!
正確には手に見とれてたの間違いだけどね!?
めっちゃ恥ずかしいやつじゃん!!
ここは冷静に、冷静に、、
私「うん、そうなんだよね!実はさー、ここがどうしてthatになるのか分からなくて!」
矢野『ん?どこ?』
そう言いながら身を乗り出してノートを見てくる矢野くん。
いやいやいや、やばいです
あなた無意識にそういうことしないでください
ドキドキしちゃうでしょ!!
矢野『て、、聞いてた?』
私「え!?あ、うん!!………うん!?」
矢野『………うん、聞いてないね?』
私「えーーーっと、、」
矢野『真野さん分かりやすいから(笑)』
私「え!?!?分かりやすい!?」
矢野『うん、分かりやすい』
やばいじゃん、、、
ドキドキしてんのもバレバレってこと!?
矢野『部活のことは本当に気にしなくていいから』
ん?
部活??
矢野『ちゃんと時間になったら行くし』
あぁ!!!すっかり忘れてた!!(最低)
私「なら良かった!」
矢野『じゃあさっきのthatだけど、、』
そしてその後はみっちり矢野くんに詰め込まれました
でも
ドキドキし過ぎて全然頭に入ってません(泣)
矢野くんごめんなさい!!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!