第42話

雪解け
642
2020/05/13 01:41


やっぱりこのままじゃダメだと思い、私は矢野くんと1週間後に久しぶりにデートをすることにした。





私「矢野くん、お待たせ」


矢野『おはよう、真野さん』





変わらない優しい笑顔の矢野くん。





矢野『じゃあ行こっか』


私「うん!」




そう言うと、久しぶりに矢野くんの左手が、私の右手に重なった。



いつぶりだろう、、




その温もりを感じながら、私たちは水族館へ向かった





矢野『イルカショーは1時間後だって』


私「1時間後かぁ〜、じゃあそれまで他見よ!」


矢野『大丈夫?歩き疲れてない?』


私「うん、大丈夫だよ!ありがとう」





小さな優しさに胸がキュッとなる。


やっぱり私は矢野くんが好き。


だから、ちゃんと話をしないとダメだよね





ーーーーーー





水族館を出たあと近くの公園に場所を移した。






矢野『久しぶりに水族館行ったなー』


私「私もー!久しぶりに行くと楽しいね!」


矢野『イルカショーも今はプロジェクションマッピングとかすごいんだね』


私「ね!私もビックリした!笑」






他愛もない話をしながらベンチに腰をかける。





莉子ちゃんのこと、切り出さなきゃ…






矢野『真野さん』


私「ん!?」





話を切り出そうと思ったら矢野くんに先に声をかけられた。





矢野『………気遣わせてるよね?ごめんね』



私「…………ううん」






たぶん、莉子ちゃんのことだろう






矢野『たしかにあの時は驚いたけど、もう気持ちの整理はついてるから』



私「………ついてるの?」





本当に心の整理がついているなら、

なんで最近うわの空なの?

なんて、怖くて聞けないけど…






矢野『もう昔の話だからね』


私「………」


矢野『真野さんに嫌な思いさせて、ごめん』


私「いや、私は大丈夫だけど…」


矢野『大丈夫じゃないでしょ』


私「…………」


矢野『心配かけてごめん』


私「……ううん」


矢野『……莉子とのことは、もういいんだ』


私「でも、一度しっかり話した方が…」


矢野『もう何年も経ってるんだよ?話すことなんて何もないよ』


私「………でも、、」





お互い忘れられなかったから

あの時2人ともあんなにツラい顔してたんじゃないの?






矢野『それに、俺には真野さんがいるから』






矢野くんからまさかそんな言葉が出るとは思わず
驚いて目を見開いた







矢野『俺は真野さんを大事にしたい』


私「………矢野くん」


矢野『心配かけてごめんね』


私「………うん、もう大丈夫」





矢野くんがそんなことを思ってたなんて…




本当は…って勘ぐるようなこと、もうやめよう




私は矢野くんを信じる




大丈夫、きっともう大丈夫



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