次の日も、その次の日も、そのまた次の日も、
矢野くんは部活前に私に英語を教えてくれた。
そして今日は追試の日です。
矢野『じゃあ頑張って』
私「ありがとう!頑張る!」
矢野『うん、いってらっしゃい』
私「行ってきます!」
追試が始まる時間ギリギリまで矢野くんに教えてもらったし…
うん、大丈夫!
頑張れる気がしてきたー!!
ーーーーーーーー
先生『お!?真野、やればできるじゃないか!』
追試は見事に一発でクリア!
なんと100点満点で85点!
こんな点数人生で初めてだよ、、、
先生『矢野に感謝しろよー?』
私「はーい!」
先生『次のテストもこのくらい頑張れよ?』
私「………はーい!」
先生『………………そこは即答しなさい』
私「じゃ!さよーならー!」
先生『気をつけて帰れよー』
私「はーい!!」
間違いなく矢野くんのおかげだ!!
追試が終わり、気分よく教室へ戻る足取りは
信じられないくらい軽い!
荷物を取りに戻る途中で
ふと体育館が目に入る。
矢野くんのバスケ姿…見たい……
ふとそんなことが脳裏をよぎる。
チラッと、、
チラッと見るだけ、、
コソコソと体育館に近づくと…
『ナイッシュー!』
『あやナイスー!』
ん?
あれ??
女バス???
あれ?男バスは??
いくら探しても矢野くんの姿はおろか、
男バス自体見つけられない
もしかして外周とか!?
うわーーーーー
絶対そうだよ、、、たまに外走ってるの見たもん
せっかく矢野くんのバスケ姿見れると思ったのに(泣)
しょぼくれながら教室へ戻る
ーーーーガラガラガラ、
私「…………え…?」
矢野『おかえり。どうだった?』
部活に行ってるはずの矢野くんの姿が
そこにはあった
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。