第35話

男心
665
2020/05/06 12:33

ーーーー2週間後






矢野『じゃあまた明日』


私「うん!送ってくれてありがとう。また連絡するね」


矢野『うん、俺も連絡する』







矢野くんの背中が見えなくなるまで見送る。


今となってはこの光景見慣れてきたかも。


いよいよ明日は莉子ちゃんが働くイタリアンに食べに行く日。


久しぶりのデートだぁ!!






『洸太くん?どうしたの?』






女の人の声が聞こえて振り返ると、黒高の制服を着た綺麗な女の子とコタが後ろに立っていた。





コタ『別に』






コタは私と目を合わせることもなく、横を通り過ぎていく



ここ最近ずっと様子が変なんだよなぁ…



様子が気になり、部屋に行こうとしても居留守使われてるっぽいし。



どうしたんだろう?







コタ『てかいつまでついてくんだよ、早く帰れ』



『だって私、洸太くんの彼女でしょ?』



コタ『は?』



『この間OKしてくれたよね?』



コタ『してねーし』



『え?何言ってるの?二学期入ってすぐOKしてくれたじゃん…てか洸太くんいつももっと優しいじゃん…ねぇ、本当に洸太くんどうしたの??』



コタ『俺が優しい?お前は俺の何を知ってんだよ』







コタの機嫌がものすごく悪い、、



普段私以外の女の子には基本優しいコタが…








『洸太くん、、怖いよ。いつもの優しい洸太くんに戻ってよ…』



コタ『洸太くん洸太くんってピーピーうるせぇんだよ、てかお前誰だよ?彼女面してんじゃねぇよ』





ーーーーーーーパァン!





『最低!!!!!』





女の子はコタの頬を叩いて涙を流しながら走り去ってしまった







な、な、なんだこの修羅場は、、、







頬を思いっきり叩かれたコタを呆然と見つめるしかできない







コタ『…………』



私「…………え、と…」



コタ『…………』







しばらくの間、コタと目が合ったが

すぐに視線を外され家の中に入っていってしまった






本当にどうしたんだろう、、、






あの子、前にもコタといたところ見たけど彼女じゃないの?






どういうこと????






私も自分の家に入ったが、どうしてもコタの様子が気になる。






頬叩かれてたし…






私は冷たいお茶のペットボトルを持ってコタの家を訪ねた。







ーーーーーーーピンポーン、、、



ーーーーーピンポーン、、



ーーーピンポーン、







3回鳴らしたがコタは出てきてくれない。






さっき家に帰ったばかりだしいるはず…






会いたくないってことかな…







私は諦めて踵を返して自分の家に戻ろうとしたところで、私を呼ぶ声が聴こえた







私「え、、!?」







私の名前を呼ぶ相手は、、







矢野『真野さん!』



私「矢野くん!どうしたの?」



矢野『真野さんのペンケース借りっぱなしだったの思い出して』



私「そんなの明日で良いのに〜!!笑」



矢野『あ、そういえばそっか…笑』



私「も〜!笑」



矢野『そんな笑わないでよ…笑』



私「走ってきてくれたの?笑」



矢野『……うん』






じんわり額に汗を滲ませて頷く矢野くん


たったペンケースのためにここまで…


愛おしいなぁ。





私「矢野くん、これあげる」



矢野『え?お茶?』






私はコタに持ってきた冷たいお茶のペットボトルを矢野くんにあげた。






矢野『ありがとう』



私「どういたしまして。ふふっ(笑)」



矢野『………笑いすぎだから』






ちょっと照れる矢野くんが可愛くて可愛くて、、






ーーーーーーーギュッ







私は自分から矢野くんに抱きついた








矢野『…………俺汗だくだよ』


私「うん。笑」


矢野『………………』






ーーーーーーーギュッ






矢野くんも強く抱き締め返してくれた






しばらくして、お互い同じタイミングで身体を離した。






私「ペンケース、ありがとう」


矢野『どういたしまして』


私「じゃあ、、また明日、、」


矢野『…………うん』


私「……………矢野、くん?」


矢野『…………真野さん、、』


私「……………」







そしてどちらとも合わせることなく

お互い吸い寄せられるように







ーーーーーーーチュ、








私たちは唇を重ねた










矢野『じゃあ、、また、明日…』


私「う、うん!また、、明日、、」








走り去っていく矢野くんの後ろ姿を見ながら私は自分の唇を抑えた。






一瞬の出来事だったけど






ついに、、、






ついに矢野くんとファーストキスをしたんだ!!







抑えきれない笑みを堪えながら矢野くんの後ろ姿を見つめていた。








それを












コタがどんな気持ちで見ていたかも知らずに








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