第40話

距離感
650
2020/05/12 12:42


あれから数日が経った。




矢野くんに莉子ちゃんのことを聞くこともないし

矢野くんから莉子ちゃんのことを言うこともない

莉子ちゃんから連絡があるわけでもないし

私から莉子ちゃんに連絡をするわけでもない






私「もうすぐAO入試始まるね」


矢野『そうだね、一般入試もあっという間に来そうだね』


私「ほんとにねー、、」






矢野くんは最近バイトがない日と予備校がない日は私を家まで送ってくれる。





でも、




今日も私の右手は行き場をなくしている。




私「送ってくれてありがとう。じゃあ、また明日…」


矢野『うん、また明日』





少なからず微妙な距離が開いたのは気のせいではないはず。



聞くべきなのか、聞かずに知らんぷりするべきなのか



第一、聞くって何を?



もう別れてるんだから聞くことなんて何もないのに



でも



引っ越しが原因で自然消滅ってことは、綺麗に別れたわけじゃないよね



再会して気持ちが戻るって可能性もあるんだよね…







ーーーーーーガチャ、






コタ『……何お前こんなとこに突っ立ってんの?』





隣の家からコタが出てきた





私「コタ……」



コタ『……………』







コタに相談しようか、、、


いやでもコタに甘えてばかりだし、、(今さら)







コタ『…………ちょっと付き合えよ』



私「……え?どこに??」



コタ『いいから』






そう言われコタはずんずんと先を歩いていく。


私はその後をついて行く。






ギクシャクする矢野くんとは裏腹に、


いつぞやの不機嫌コタが嘘のようにここ最近は以前のコタに戻っていた。






ーーーーー






私「……………え?」







コタに連れてこられたのはバスケットゴールがある、とある公園…なんだけど、、







『ちわっす!!』

『お疲れ様っす!』

『洸太先輩!』





黒高のバスケ部の子達!?!?!?





『え!?先輩、その方はもしかして…』

『まさか洸太先輩の…』

『先輩彼女いたんすか!!』






私「いやいやいやいや!違うから!!」






なんか勘違いされてるし!!






私「ちょっとコタ!どういうこと!?」


コタ『あ?バスケだよ、バースーケ!』


私「いやそれは分かるよ!なんで私がここに!?」


コタ『暇そうだったから』


私「暇じゃないんだけど!?」


コタ『いいじゃん。1時間だけ付き合えよ』


私「てか体育館でやれば良いじゃん!」


コタ『今日は女バスがオールコートの日だからこいつら部活休みなんだよ』


私「なるほど……てそういう問題じゃ…」


コタ『たまにはこういうのも良いだろ』






たまには?


こういうのも??


コタに言われる筋合いないような…






コタ『おーし、やるぞーー』


『『よろしくお願いします!!』』







コタはボールを持って後輩たちに指導し始めた。





まぁ、家に帰っても矢野くんと莉子ちゃんのこと考えちゃうだけだし…たまにはいっか。







コタ『はいもう1回ー』


『洸太さん!ドリブルの時なんすけど、、』


コタ『あぁ、それは…』







当たり前だけどみんな上手いなぁ…




部活が休みの日もこうやって努力して偉いなぁ




その中でもコタは群を抜いて上手い。




動作のひとつひとつに無駄がない。




昔はあんなにボールに遊ばれてたのに…笑




しかもちゃんとみんなに指示出したりアドバイスあげたり…なんか先輩っぽーい!(先輩です)









コタ『七瀬、暇だろ?ちょっと手伝え』



はぁ!?暇って!!



私「お陰様でね!!(怒)」


コタ『パス出しして』


私「は!?無理無理!私バスケできないし!」


コタ『パス出すだけだろ』


私「いやそれが出来ないんだって!」




簡単に言わないでよね!!(怒)




『七瀬さんよろしくっす!!』

『よろしくお願いします!!』

『俺らもっと練習して洸太先輩みたいにバスケ上手くなりたいっす!』





バスケが上手くなりたい、、、


なんてキラキラした子達なの!(こういうの弱い)





私「任せて!」


プリ小説オーディオドラマ