第41話

超能力者
632
2020/05/12 13:12

『『『ありがとうございました!』』』



コタ『おー!おつかれー』






あれから1時間、いや2時間は練習を続けた。






私「………痛い(泣)」





私はパスを出し続けて、普段使わない箇所の筋肉を使ったからか、すでに腕が上がらない。。






コタ『張り切りすぎるからだろ。笑』



私「だってああいう青春っぽいの弱いんだもん(泣)」



コタ『あほ。ほら、今日の報酬』






そう言ってコタは冷たいスポーツドリンクを私の腕にあてた。






私「ありがと」



コタ『160円分は働いたな』



私「でしょ!」



コタ『しっかしお前、バスケ下手すぎね?笑』



私「昔からそうじゃん!!」



コタ『そういやそうだったな。笑』





昔はコタと一緒にバスケをやったりもしたけど
絶望的にセンスがないと気付き、やめた






コタ『…………で?何かあったんだろ?』





ふいに聞かれ、驚いた





私「………何かって?」



コタ『どうせ矢野絡みだろ?』






なんでコタは分かるんだろう…






私「コタって超能力者?エスパー?」


コタ『……は?』






私は矢野くんと莉子ちゃんのことをコタに話した


コタに相談したところでどうにかなるわけじゃないけど、吐き出したかった。







コタ『ふーーーん、元カノねぇ〜』



私「なんか…ちゃんと2人に話をさせてあげた方が良いのかなって思う自分もいるし…」



コタ『2人にしたくない自分もいる、だろ?』



私「……うん」



コタ『じゃあそれで良いんじゃね?』



私「でも、やっぱりこのままだとスッキリしないっていうか…なんていうか…」



コタ『お前ね、お人好しすぎんだよ』



私「お人好し、ではないよ…内心めちゃくちゃ嫌な女だよ」



コタ『めちゃくちゃ嫌な女ならそんなことでウジウジ考えねぇだろ』





ちがうよ、


本当は嫉妬でおかしくなりそうなんだ。


なんで矢野くんの元カノが莉子ちゃんなのか。


なんで矢野くんは今もうわの空なのか。


なんで矢野くんは私と手を繋いでくれないのか。


なんで矢野くんは私のことは名前で呼んでくれないのか。



なんで今さら2人が再会するのか



なんで、どうして、って言葉が次から次へと出てくる。



心が真っ黒だから。



めちゃくちゃ嫌な女だから。








コタ『……あんまりひとりで抱え込むなよ?』





そう言って私の髪の毛をクシャッとするコタ。




いつもそんなこと言わないコタから

そんな優しい言葉をかけられたら

泣きそうになるからやめてよ、、






私「………ごめん、コタ」



コタ『なにが?』



私「……コタも、その、、諦められない恋?してるって、聞いたから…」



コタ『は?誰に?』



私「コタのこと家の前で引っぱたいた綺麗な子。この前あの子に偶然会って聞いた…」



コタ『………他には?』



私「他??」



コタ『………聞いてないなら別にいい』



私「コタもツラい恋愛してるんだよね…」



コタ『…………………』



私「ひとりで抱え込まないで私に相談してね!」



コタ『はぁぁぁぁ………』



私「え?なんでため息?私も一応女子だしアドバイスぐらいできるよ?」



コタ『いらねーよバーカ』



私「本気なのに!!」



コタ『……俺はもういいんだよ』



私「え!?諦めちゃうの!?」



コタ『……………諦めちゃうんだよバーカ』



私「えー、コタ意外とモテるんだし頑張ってみれば良いのに〜」



コタ『お前、、まじムカつく』



私「え!?なんで!!今わたしコタのこと褒めたよね!?」



コタ『いいから、帰んぞバカ』



私「バカじゃない!七瀬!」



コタ『はいはい』






そう言いながら私のバッグを持ってくれるコタのさりげない優しさを、私は知ってるよ。



ありがとう、コタ




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