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第53話

さようなら
1,105
2020/05/27 13:58


ーーーー♪





LINEだ、、莉子ちゃん…かな?






通知を見ると、やはり莉子ちゃんからの返信だった






莉子✉ナナちゃん、ごめんなさい。本当にごめんなさい。何度謝っても謝りきれません。







莉子ちゃん、、この文章だと矢野くんとどうなったのか分からないよ…(苦笑)


なんて、、


戻ったに決まってるよね。






私✉莉子ちゃん、もう二度と矢野くんと離れちゃダメだからね!!あと、私は大丈夫だから気にしないで!本当に良かった。おめでとう。






莉子✉うん、ちゃんと大事にする。本当にごめんなさい。ありがとう、ナナちゃん。








これで良かったんだ、、




うん、




これで良かった。








コタ『…………終わったの?』



私「……………うん」



コタ『…………お前にしては頑張ったんじゃね?』



私「……あははっ、だよね…」



コタ『…………』



私「……………こんなにあっさり身を引くってことはさ、私あんまり矢野くんのこと好きじゃなかったのかな?」



コタ『……………』



私「本当に好きならこんなことしないよね(苦笑)」






そうだ、、



きっと私は矢野くんのことそんなに好きじゃなかったんだよ



だって付き合ってるって言ってもたかが半年ぐらいだったし




うん、きっとそうだ







コタ『………七瀬』



私「何?」






コタは自分のリュックからクリスマスの包装紙に包まれた箱を取り出した







コタ『これやるよ』



私「え、何これ?」



コタ『宅配便っつったろ』



私「コタが私に?」



コタ『他に誰がいるんだよ』



私「いやだって、、クリスマスプレゼントなんてもう小さい時しか交換してなかったじゃん」



コタ『要らないなら返せ』



私「いや!要る!!開けていい!?」



コタ『どーぞ』







可愛い包装紙をキレイに開けていくと、、







私「これって、、家庭用のプラネタリウム?」



コタ『お前星好きだろ』



私「うん、好き」



コタ『早速つけてみるか』



私「うん!」






ずっと欲しいと思ってた家庭用のプラネタリウム


なんで私がこれ欲しいって知ってたんだろう?


てか私のためにわざわざこれ買ったの?







コタ『お、ついた!電気どこ?』



私「あ、消すね!」







ーーーパチ







電気を消すと、、、







私「うわぁ、、、キレイ…」



コタ『結構しっかり見えるんだなこれ』



私「ね、、すごい…」








ゆっくりと星が動いていき、

綺麗な天の川と無数の流れ星が流れていく。








コタ『…………なぁ、七瀬』



私「ん?」



コタ『……お前がちゃんと矢野を好きだったってことは、ちゃんと分かってるから』



私「……っ、」



コタ『……………よく頑張ったよ、まじで』



私「……そんなこと言わないでよ…」



コタ『泣いちゃう?笑』



私「………泣かない」



コタ『泣きたい時は泣けば?』



私「……どうせ笑うんでしょ」



コタ『笑わねーよ。笑』



私「………嘘だ」



コタ『真っ暗でお前の顔なんて見えねーし』



私「………たしかに…」



コタ『ずっと我慢してたんだろ』



私「…………」






普段口の悪いコタにこんなに優しくされたら






私「……そんな優しいこと言わないでよ…(泣)」



コタ『はいはい』



私「たった半年でもちゃんと好きだったよ!大好きだったよ!バカ!矢野くんのバカ!!」



コタ『そうだそうだ、その調子〜』



私「今さら再会するってなんだそりゃ!私めっちゃ邪魔者じゃん!そんなの身を引くしかないじゃん!」



コタ『うんうん』



私「もしかしたら矢野くん戻ってきてくれるんじゃないかって、ちょっと期待してたよバカヤロウ!何がマリーゴールドだ!!」



コタ『マリーゴールド?笑』



私「気持ちは莉子ちゃんにいってるのになんでプレゼントなんて買ってくるんだ!!しかもこんな可愛いネックレスじゃ捨てられないじゃん!バカ!!アホ!」



コタ『うん?ネックレス??』



私「可愛いし付けたいけど未練がましくてもう付けられないじゃんか!!これどうしたら良いんだバカ!」



コタ『え、それプレゼントだったの…?』



私「矢野くんなんて…矢野くんなんて嫌いだ!!…グスッ……嘘…こんな偽善者ぶってる自分が1番嫌い…グスッ…」



コタ『…………』



私「………嫌い……グスッ…」



コタ『…………』



私「……………グスッ…」



コタ『…………ちょっとはスッキリしたか?』



私「………うん…グスッ……ありがと…」







たくさん愚痴を吐いたおかげで、

少しだけスッキリした







コタ『お前は偉いよ』



私「…………グスッ…」



コタ『………お前は偉い』



私「……ふふっ、…グスッ…なんで2回言ったの?笑」



コタ『七瀬は偉い!』



私「……七瀬に変えただけじゃん…笑」










高校3年の夏、初めて彼氏が出来た。


ドキドキした。


デートした。


手を繋いだ。


生まれて初めてのキスもした。


そして高校3年のクリスマスイブに


私は失恋した。






さようなら、矢野くん

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