第44話

届かない
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2020/05/15 16:21


私「………」


矢野『真野さん?』


私「………」


矢野『………おーい!』





ーーーーーーパチン!





私「わ!ビックリしたぁ!!」




突然矢野くんが目の前で手を叩いた




矢野『最近ボーッとしてるけど、どうしたの?』


私「え!?してる!?」


矢野『うん、してる』


私「勉強疲れかなぁ〜笑」


矢野『ちゃんと休んでね?』


私「うん、ありがと!」





あの日、莉子ちゃんから聞かされた話を

私は忘れられないでいる。



矢野くんに言うべきなのか、

このまま黙っているべきなのか、、



今さら言う必要は無いのかもしれないけど

矢野くんは知らないままで良いのかな…





矢野『もうすっかり冬だね』


私「ね、寒くなってきたね…」





ハロウィンも終わり、街はすっかりクリスマスムード一色。





矢野『真野さんは今年のクリス、、』



『リコ!』



矢野『……!!』





矢野くん、、





『リコ!ちょっと待って!ママ荷物持ってるの!』

『ママ早くぅ〜!』






矢野『あ、ごめん、えっと…何の話してたっけ…』






矢野くん、、


いまリコって言葉に反応したよね…?







私「………クリス…マス?とか?笑」





ヤバい、うまく笑えてるかな私…





矢野『あ、そうだったね…』



私「うん、、笑」



矢野『…真野さん、今年のクリスマスって何か用事ある?』



私「…ううん?何もないよ。矢野くんは?」



矢野『俺もない』



私「……そっか、、」





私が誘わなきゃなのかな…





矢野『……もし良かったら、会わない?』



私「え!?」



矢野『あ、忙しかったらいいんだけど…』






矢野くんから誘われるとは思ってもなかった

きっと私から誘うことになるだろうと思ってたから





私「ううん!忙しくない!!」


矢野『ほんと?良かった…』





ホッとした表情で優しく微笑む矢野くん





私「24日が良いかな?」


矢野『うん、大丈夫だよ』


私「じゃあ24日にしようー!」


矢野『了解』





矢野くんと付き合って初めてのクリスマスかぁ…





だけど何故だろう





クリスマスの約束をしてるのに



なんでこんなに胸がザワつくんだろう



嬉しいのに、、



嬉しいのに素直に喜べない自分がいる。







私「矢野くん、送ってくれてありがとう」


矢野『じゃあまた連絡するね』


私「うん!気をつけてね!」


矢野『うん』






矢野くんの後ろ姿を見送る


何度も見てきたこの後ろ姿。


でもね、


一度もないんだよね。


矢野くんはいつも振り返らない。





私「……ちょっとは振り向いてくれても良いのに」





ボソッと本音をこぼしたが、



矢野くんに届くことはなかった




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