第36話

いつもの
646
2020/05/08 09:08

私「………よし」




今日は矢野くんと一緒に莉子ちゃんのお店に夜ご飯を食べに行く。


しっかりお化粧して、髪の毛もゆるふわに巻いて、この間買ったワンピースを着て…


なんかデートって感じがしてきた!!!





母『ななー?』


私「あれ?お母さん今日おやすみ?」


母『ううん、これから出るんだけど…って何オシャレしてんの?』





ギクッ





両親が不在なことがほとんどだから家の前であんなことやこんなことしてもバレなかったけど…




私「あーー実はねーー」


母『あーそういうことね?』




含みのある笑みで私を見つめる母


さすが。


デートってこと分かったのかな




母『じゃあお母さん行くから、戸締りしっかりね』


私「はーい」


母『じゃ、コタちゃんによろしく〜』




と言って仕事に向かう母




は?




コタ???





私「違うよ!コタじゃないよ!」



母『照れなくて良いのに〜。あ!じゃあついでにこれコタちゃんに渡しといて?』



私「照れてないし違うし!てか何これ?」



母『コタちゃんのお母さんにライブのDVD借りてたのよ〜。でもコタちゃんのお母さんも忙しくてなかなか会えないから返せてなくて』



私「あーでもコタいるかな…」



母『いなかったらまた今度返すから』



私「分かったー」



母『じゃ、楽しんでね〜♡』






ーーーーーーーバタン、






最後まで勘違いしてた気がするけど…





まぁいっか





コタか…





コタねぇ〜






昨日あんな感じで不機嫌だったしなぁ






また居留守使われるんじゃないかと思いながら、コタの家のインターホンを鳴らす







ーーーーーーーピンポーン、




ーーーーピンポーン







やっぱり出ない…




ほんと最近のコタどうしたんだろ…




あ、そういえば全国大会準優勝だったんだっけ




まさかタイトル総ナメって言われてたのに優勝できなかったから…?





いやコタがそこまでこだわるとも思えないしなぁ






私「んーーーーーめんどくさっ」







私がコタのこと悩む必要ないし



第一、ひとりで勝手に機嫌悪くして、人に八つ当たりしてる時点で最低だよね



昨日の女の子が最低って言っても仕方ないわ、うん







私「コタは最低だ、うん」








コタ『…………人の家の前で堂々と悪口言わないでもらえます?』








私「!!!!!」








後ろから走ってきたコタ







私「ランニング?」



コタ『あぁ…ちょっとな』



私「なんか……大丈夫?」



コタ『は?』



私「最近コタちょっと変だから」



コタ『んなことねーよ』







今日は普通…?







コタ『昨日、悪かったな』



私「……昨日?」



コタ『変なとこ見せただろ』



私「あぁ…私は良いけど、女の子にはもっと優しくした方が…」



コタ『ん、だな』






???




こんなに素直に言うこと聞くなんてやっぱり変だ






私「あ、これ、うちのお母さんがコタのお母さんから借りてたらしい」



コタ『あぁ、返しとく』



私「………じゃあ」



コタ『……お前、そんな服着て今日デートなの?』



私「うん、矢野くんとご飯食べてくる」



コタ『また喉通らねーんじゃね?笑』



私「もう大丈夫ですー!!」



コタ『あそ?じゃ、気をつけて行けよ』



私「うん、ありがと」



コタ『ん、じゃーな』






ーーーーークシャッ






私の髪の毛をクシャッとするコタ






私「ちょっと!せっかく巻いたのに!」



コタ『似合わねーよ』



私「ひどっっ!!コタのバカ!」






手をひらひらさせて家に入っていくコタ






髪の毛の件はムカつくけど!!!!!






いつものコタに戻って良かった…






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