第45話

今さらーー矢野sideーー
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2020/05/15 17:27

真野さんを家まで送ったあと、


いつも俺は自分の家まで徒歩で帰る。


1駅、2駅分ぐらいの距離だ。




クリスマスプレゼント何が良いかな…




真野さんの好きな物、、



好きな物、、



真野さんの好きな物ってなんだ?




ハマってるようなのも無さそうだし…

マフラーや手袋だって持ってる。

香水とかも付けてる感じしないし…




困った、、、




本人に欲しいものを聞くのもおかしな話だし…




近くのショッピングモールに寄り道して探してみたが

真野さんが喜びそうなものがまったく分からない。

何でも喜んでくれそうではあるけど…





どうしたものかとしばらく俯き考える。





が、やはり答えは出ない。





とりあえず今日は帰ろうと顔を上げて前を見たら






矢野『………』






今一番会ってはいけないであろう人物が目の前に立っていた






莉子『……………ぐ、偶然…だね…』






あの時と変わらないその声で






莉子『…………和真?』






また俺の名前を呼ぶ






矢野『あぁ、いや…』






どうして今さら会ってしまったんだろう







莉子『………和真がショッピングモールにいるなんて、不思議だね』


矢野『……そう?』


莉子『自分の物も人の物にも関心なかったじゃん』


矢野『そんなことないけど』


莉子『………何か探してるの?』


矢野『………うん』


莉子『あぁそっか、もうそんな時期か…(苦笑)』





莉子は昔から察しが良い。





そうだ、もうすぐ莉子が突然消えたクリスマスだ


だから本当は誰かと過ごすクリスマスは怖いんだ


約束したらまた突然居なくなってしまう気がして


だから真野さんと約束するのも本当は躊躇った。





莉子『大丈夫だよ、ナナちゃんは突然消えたりしないから』





どうして莉子はいつも俺の考えてることが分かるのか




むかつく






矢野『……別に、そんなこと考えてないから』



莉子『そっか…そうだよね!笑』





無理に笑顔を作ってみせる莉子


やめろよ


無理に笑うなよ






莉子『………和真、ごめんね』


矢野『………何が?』


莉子『……この間も今日も、本当に偶然だけど…今さら目の前に現れたりして…』


矢野『………いつこっちに帰ってきてたの?』


莉子『大学進学と同時に、ね』


矢野『……そっか』






今さらこんなこと聞いたってどうにもならない



だけど、どうしても気になるんだ



どうして何も言わないで引っ越したのか



どうしてこっちに帰ってきて真っ先に俺のところに来なかったのか






矢野『どうして、、、』







いや、やっぱり聞くのはやめよう



今さら聞いても、時間は戻らない






莉子『…………』


矢野『…………』


莉子『………和真?』


矢野『……ん?』


莉子『…和真は私に会いたくなかったと思うけど…』








そんなこと思うはずがないだろ





ずっと会いたかった





ずっと探してたんだ







莉子『私は……もう一度和真に会えて良かった』







俺だって莉子が帰ってくるのを


ずっと待ってたんだ







莉子『本当にありがとう、和真』



矢野『…………』






なんだよ今さら






莉子『…………じゃあ、』







そう言うと、莉子は俺の横を通り過ぎた







ーーーーふわっ








この香り、、、








矢野『……莉子っ』







その呼び掛けに莉子は足を止め振り返った






矢野『あ、いや………』






思わず呼び止めてしまった








莉子『…………今度こそ本当にさようなら、和真』







目に涙を浮かべてニコッと笑った莉子は


今度は小走りで去って行った







矢野『……何だよそれ、、何だよ、今さら…』







あの香りは、




俺が莉子の誕生日プレゼントにあげた




コロンの香りだ



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