第21話

応援
713
2020/04/19 08:42



そして試合当日





栞『へー、結構大きいところでやるんだね!』


私「みたいだね〜」





しーちゃんに頼んで一緒に応援に来てもらった



事前に矢野くんに教えて貰った情報では

昨日が地区ブロック準決勝で、

今日は県大会を懸けた決勝



矢野くんいわく、90%負け試合らしい。



まぁ相手が全国常連のあの黒高では仕方ないか…


どのスポーツも結局黒高には適わないし。




栞『でもさー、矢野くんって県選抜に選ばれるくらいの選手なんでしょ?』


私「らしいね」


栞『じゃあもしかするともしかするかもよ?』


私「………そっか、、そうだよね」


栞『さ!応援応援〜!』






しーちゃんと会場に入り、席に座る



ちょうど両チームがアップしているところだった





『黒高ーーーー!!!!ファイっ!オー!』




うわぁ、、黒高の応援すごいな…




幕まであるよ…





栞『赤高ー!ファイトー!』


私「え!しーちゃん!」


栞『何してんの!ほら、ななも応援!』


私「あ、うん…赤高ー!!頑張れー!」





矢野くんは、、、





あ、いた…





私の声が届いたのか、ふと視線がぶつかる





少しだけ口角を上げる矢野くん






かっこいいいいいい!!!!!!






栞『なな〜良かったね〜♡』



私「うん…!!」







ピーーーー







そして試合が始まった





矢野くんは県選抜に選ばれるだけあって
さすがに動きも他の選手と比べて頭一つ抜けてる





ていうか矢野くん、めっちゃバスケ上手い!!





みんなも矢野くんにボールを集めて、

矢野くんから他の選手へパスをしたり

自らシュートも華麗に決めていく




すごい…





『赤高の10番やばくね?』


『あいつ県選抜に選ばれてたやつだろ』


『黒高が全然対応できてねぇじゃん』


『あの10番1人にやられてんな』





周囲が矢野くんのプレーにざわつき始める




そりゃそうだ




あの黒高相手に矢野くん無双中だもん






私「矢野くん頑張れー!!」






その後も赤高ペースで試合は進み、

なんと第2クォーター終了時点で

32-22





栞『これもしかすると勝てるんじゃない!?』


私「うんうん!!私もそう思う!!」






淡い期待を抱きながら迎えた第3クォーター


ある人物の登場で空気がガラッと変わった






『まぁ黒高はここからだろうなー』


『黒高の10番まだ出てねぇもんな』


『温存ってこと?余裕だね〜』






黒高の10番…たしかにコートにはまだ出てない






ワァァァァァァァァ






私「矢野くん…!!」





矢野くんが第3クォーター最初のプレーで
3ポイントを決めた

これで35-22

流れは完全に赤高だ






ピッ!





『選手交代!』







ついに黒高ベンチが動いた







『きたきた、黒高の10番様』


『このまま行けば高校のタイトル総ナメだろ?』


『及川洸太』





ん?





及川洸太??





て、





私「えええええええええ!?!?!?」






コタ!!!!!!!!






栞『ビックリしたぁ、どうしたの?』



私「いや、あの10番、、幼馴染…」



栞『え!!!!』





そういえばコタもバスケ部だったわぁぁぁ…





矢野くんのことしか考えてなかったから


コタのことなんて頭の片隅にもなかった…







キャーーーーーー






コタがコートに入ると、黄色い歓声が飛んだ






『及川くーん!!』


『洸太くーん!がんばってー!!』






なんだこのアイドルの応援みたいな状態は!!






『相変わらず10番様人気すげぇな』


『ムカつくから赤高勝たねーかなー』


『まぁ及川は赤高には止められねーだろ』






たしかにコタはすごい…

それは知ってるけど…






ワァァァァァァ…






久しくコタの試合なんて観てなかったから


知らなかった






ワァァァァァァ!!!






こんなに上手くなってたなんて!!!!!



コタが入った黒高はあっという間に

追いつき逆転に成功した



矢野くんも孤軍奮闘しているが、

ここにきてチーム力の差が浮き彫りになった






私「矢野くーーーん!!!赤高ーーーー!!」






最後まで精一杯応援したが、、、







ピーーーーーーーー






78-64






矢野くんたち赤高は負けてしまった




プリ小説オーディオドラマ