第2話

プロローグ
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2021/05/29 03:15
_小学生の時、“バレー”という競技に出会った。


バレーに出会うまではスポーツなんて興味がなかった、いや、動くこと自体が苦手だった。


でも、ひとつ上だけど、親友の“けーくん”が、そんな私にバレーを教えてくれたんだ。





「ねぇ、あなた、“バレー”って知ってる?」


『ん?バレー?知らない…』


「あのね、チームスポーツ?っていうものなんだけど、とっても楽しいんだ!」


『え、、スポーツ…?』


「うん!スポーツ!!」


『スポーツって、いっぱいうごかないといけないんだよね、、?わたし、うごきたくない』


「あなた、あのね!バレーはね、そんなにうごかなくてもいいんだよ!?」


『☆°。⋆⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝ けーくん、それ、ほんとう?』


「うん!!」


『…わたしも、けーくんとバレーする!!』


「え!ほんと?やった!」


と、いうことがあって私はチームに入ってバレーを始めた。


始めた時は、思ってたよりキツくて「けーくんの嘘つき!」とか思ってた。でも、キツかったけど、楽しくて、気づいたらずっとバレーをしてた。高学年になって行くに連れて試合にも出れるようになって、もっと、バレーが好きになった。特に、けーくんがくれるボールは打ちやすくて、好きだった。


…でも、こんな日常も急に終わりを迎えた。


足を故障してしまったのだ。



小学5年の夏の試合、けーくんにトスを貰って、スパイクを打って、、という所まではいつもと同じだった。でも、着地で失敗してしまったんだ。



グギッ!!!



『イッ……………!!!』



何か踏んだような気がするけど、とりあえず、着地を失敗して足首を痛めてしまったんだ。



「あなた!!!!」


「おい、あなた、大丈夫か!?」


『……痛いぃぃぃい・゚・(。>д<。)・゚・』



その後、病院に搬送された。診断結果は足首骨折、バレーをすることが出来なくなった。



『…え、けーくん、私、バレー、もう出来ないの?』


「…いや、ちゃんと安静にして、リハビリを頑張ったら、中学でバレー、できるよ?」


『ほんと?』


「うん、本当」


『.*・゚(*º∀º*).゚・*.わかった!私、頑張る!!!』



その後、私は頑張ったけーくんと早くバレーをしたいから、安静にするのも、リハビリも頑張った。そして、小6の冬、ついに、バレーができるようになった。



『けーくん!バレーできるようになった!!!!』


「あなた、良かったね!」


『うん!』



…でも、神様はなんて意地悪なんだろう……



「あなた、宮城に行くよ」


『…え?』



それからの事はあまり覚えていない。気づいたらけーくんは遠くにいて、私は知らない所に居て、そして、北川第一中学校、通称北一に入学していた。


けーくんが居ないというショックで私は女子バレー部には入らなかった。けーくんのトスじゃないと、スパイクを打ちたくなかった。


でも、部活には入らないといけないらしい。バレー以外出来ない私が他の運動部に入るなんて考えられなかったし、文化部は、私が入れるような所ではなかった。しかも、けーくんに私がバレーを離れたって知られたくなかったし、私自身にもバレーに未練があった。そんな中、男子バレー部のポスターを見つけた。“女子マネ募集中”なんて書いてあったから、即男バレに入部届けをだした。


バレー部のマネになるにはなんかテストがあって、「バレーのルールを答えよ」とか「ポジションの説明をせよ」とか、なんでこんな簡単なテストをやるんだろう…とか思いながらテストを受けていた。あ、1番謎だったのは、「こいつの事どう思う?」だっけな?なんか、及川さんを突きつけられて、なんか、ウザかったから、「先輩、ウザイ面してますね」なんて言ったら、大爆笑が起こって、入部が即決定した。…その時の私には分からなかったけど、今なら分かる、及川さん目当てのいい加減なマネ希望が多いんだ。さすがに、及川さん目当てはやばい、うん、やばい。


…まぁ、そんなことから始まった中学生活。色々あったけど、楽しかった。始めはけーくんの事が忘れられなかったけど、忙しさが上にだんだんけーくんのことを思い出す回数が減ってきた。


…そして、気づけば中学3年生の夏、高校を決めないといけない時期になっていた。何故か沢山推薦が来ていて、白鳥沢やら青城やら、なんで私なんかに推薦が来ているのかが分からなかったが、とりあえず、推薦が来ていた学校全てを回ってみた。軽く10校は超える数を回ってみたが、何となくこれ!という感じがしなかった。そして、気づけば推薦の最後の高校になっていた。…そこで、私は運命の出会いがあった。
何の変哲もない公立高校。

最近校舎を新しくして、部活動が盛ん、そして、制服が可愛いと県内で最も人気の学校。

そんな学校のバレー部に、私は運命を感じた。
私は、学校を一通りまわり、帰宅したら、親に言った。



『お母さん』


「ん?何?」


『私…烏野高校に行く』

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