気にしないで、というマオちゃんの顔が、
やっぱり見ると少し寂しそうだった。
それを見ると、かなり申し訳なくなる。
あの小さくてお人形さんみたいなマオちゃんが、
今や美少年の言うならばマオくんになっていた。
声も少し低くなったし、体格もしっかりしている。
それから昔の出来事も思い出すと、
なんだか親のような気持ちになって、
少し感動してしまった。
急に焦りだす楓と、
関係ないと言わんばかりにニッコリ笑う真桜。
私とマオちゃんの間を割るように入り込んでくる楓。
さすがにビックリして体を横にして逃げた。
大抵楓のおばぁちゃんは何かあればお菓子をくださる優しい人だ。
全く負担ではない買い物をしておやつを貰えるなら、万々歳なこと。
真桜は、なにか不敵じみた怪しさ半分、
愛しいものを見る目が半分、そんな笑みを浮かべた。
楓はあなたの腕を引っ張りそこから逃げる様に道を変えたのだった。
特にやばいところなどあったのか、
思い返しても当たる節すらない。
だがしかし、この楓の顔はガチ中のガチ。
絶対に何か…
思ったよりも不安視をしなくていいかもしれない内容だった。
またなんか話が始まるのかと思ったが、
手元のスマホが震えた。
また話をうまく逸らされたし、ちょっと嫌な予感もするがまぁいいや。
と、その後買い物をした結果、
おばぁちゃんにしてはハイカラなグミ3パックを貰えたのだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。