第98話

85話!
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2019/10/17 22:40
        『ガチャッ』
そのドアの開く音で、助かったと思った。
まだ来るのが楓じゃなかっただけ助かったもんだ。
碧未 翔
碧未 翔
あー…中入んねぇの?
私には、察してくれた様に見えた。


だから助けてくれたのかもしれない。


まぁ、翔と大和には相談したからね。
紫夜 (you)
紫夜 (you)
おー、入る入る!
三鷹 雪
三鷹 雪
あぁ。



そして、私達はこの場所最後の「おやすみ」を、


交わした後部屋へ。
ベッドに入って、思った。




寝れない、超寝れない。お目目パッチリ。
い、いや!おかしい。


体も頭も疲れてるのに寝れないとか絶対無いのに…
…こういう時程、ベランダって役にたつよね。


夜風と海風に当たってこようかな。


と、体を起こして、ベランダに出た。
紫夜 (you)
紫夜 (you)
はぁぁ……
と、ため息をついた。


まぁ理由は分かるだろう。


だって、どうしたらいいか分からないから。
碧未 翔
碧未 翔
でっかいため息だなぁ。
紫夜 (you)
紫夜 (you)
!?
思わず声をあげてしまうところだった。


そして危うく小指を壁にぶつけるとこだった。
碧未 翔
碧未 翔
お前も寝れねぇの?
紫夜 (you)
紫夜 (you)
〝も〟って、翔も?
碧未 翔
碧未 翔
まぁな。
手を振り、目を見て笑顔を見せてくれる。


そっか、部屋が隣だからだ。


翔の寝れないという理由は分からないけど、


翔は大体、私の寝れない理由が分かってるだろう。
碧未 翔
碧未 翔
なぁ…雪のことは『嫌い』か?
紫夜 (you)
紫夜 (you)
そんなわけないよ。
あえて、好きと聞かないところに優しさを感じた。


こういうとこ、気が利くいいヤツだよね。
碧未 翔
碧未 翔
そっか。
碧未 翔
碧未 翔
お前はさ、好きなヤツいないの?
紫夜 (you)
紫夜 (you)
あはは、唐突だなぁ。
翔?なんでそれを今聞いたのかな?
碧未 翔
碧未 翔
ごめん、何となく気になって。
紫夜 (you)
紫夜 (you)
うーん、今は誰も。
紫夜 (you)
紫夜 (you)
バンドも、部活も、委員会も。
今は充分かなぁ。
紫夜 (you)
紫夜 (you)
そんな、彼氏?なんていたら私には勿体ないよ(笑)
碧未 翔
碧未 翔
勿体ないかwww
と、真面目に返したつもりなんですけどね?


大笑いされるとキレますよ?
碧未 翔
碧未 翔
お前らしいなー。
碧未 翔
碧未 翔
で?雪どうすんの?
楓には話せないだろ?
紫夜 (you)
紫夜 (you)
話したら何か色々とマズイ気がする。
碧未 翔
碧未 翔
おぉ、鈍感でもそこは気付いたか。
おっと、危ない殴ろうかと。
紫夜 (you)
紫夜 (you)
でも、雪には「好き」としか言われてないよ?「付き合って」なら返事は返すけど。
碧未 翔
碧未 翔
あ、返すんだ。…じゃなくて、
そっか、それは雪も雪だな。(笑)
紫夜 (you)
紫夜 (you)
でしょ?
碧未 翔
碧未 翔
ま、とりあえずこれは秘密だなぁ。
紫夜 (you)
紫夜 (you)
うん、そのつもり。
碧未 翔
碧未 翔
お、何か今なら寝れそうじゃね?
紫夜 (you)
紫夜 (you)
ホントだ。ありがと翔。
碧未 翔
碧未 翔
こちらこそ、おやすみ。
紫夜 (you)
紫夜 (you)
うん、おやすみ。
そして、二人とも戸を閉じた。
碧未 翔
碧未 翔
ま、そんな相談相手の俺も嫉妬しちゃったわけなんですけどね。

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