初詣も終わり、解散後。
私は1人神社に残っていた。
ま、理由はあるんだけどねぇ…。今日は兄さんたちも朝まで仕事のはずだから、ほんの少し遅くなる分には大丈夫、だよね?
ひとまず座りなーっと買っておいたおしるこを渡す。
ま、こんな和んでるけど……今日はそんな話しに来たわけじゃないんだよね……
効果音がつきそうなくらいニッコニコに笑って言い放つ。
すると、オキニくんが焦った顔で話し始めた。
ポンッとオキニくんの頭に手を置く。
ニコッと笑うがオキニくんはまだ少し気まづそうにしている。
……あれ、どうしたんだろ
……え?
え、
その話か……
私はついオキニくんから目線をそらす。
能力、
ぎゅーっと手を握りしめる。
クリスマスの日からずっと、考えていた。
あの女の子のこと、私が誰かに操られているような感覚になった理由……
ポロッと涙が頬を伝う。
ずっと考えてきた。
兄さんの死。私があの日あそこに行かなければ2人は死なずに余裕で勝負に勝っていた。
幹部の死。私が手をくださなければ誰も死ななかった。
マイキーだって、私と出会わなければあんな約束しなければ……
みんな、みんな…幸せだったんじゃないかな、
え、
オキニくんの大きな目が私を捕らえて離さない。
笑顔にするなんて、誰でもできる。
私じゃなくてもいいじゃん……
気まづくなって、目線を下に下げるとぽつりぽつりとオキニくんが話し始める。
もしかして、ドラケンと三ツ谷??
似てなw
その言葉に私はバッとオキニくんを抱きしめる。
というより、すがりつくって単語の方が合ってたかもしれない。
そっと動物を撫でるかのようにオキニくんが私の頭を撫でる。
ドキッ
へ、ど、どき?
驚きすぎた私はドンッとオキニくんを突き飛ばし、オキニくんはドサッと地面に倒れ込む。
急いで起こそうと手を差し伸べる。
きっとこういうやつのことを天然タラシというのだと私は胸に刻んだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!