第47話

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2023/03/19 10:00
初詣も終わり、解散後。


私は1人神社に残っていた。

ま、理由はあるんだけどねぇ…。今日は兄さんたちも朝まで仕事のはずだから、ほんの少し遅くなる分には大丈夫、だよね?


武道
すんません!お待たせしました!!
あなた
お!来たね?

ひとまず座りなーっと買っておいたおしるこを渡す。
武道
うわぁ、あったけぇww
あなた
ふふ、良かった

ま、こんな和んでるけど……今日はそんな話しに来たわけじゃないんだよね……
あなた
で、オキニくん…未来の話なんで教えてくれなかったのかな

効果音がつきそうなくらいニッコニコに笑って言い放つ。

すると、オキニくんが焦った顔で話し始めた。
武道
じ、実は、



あなた
そう……私、幹部全員を…
武道
…すみません、言い出しずらかったのと大寿に会わせちゃダメだって思いでいっぱいで
あなた
あぁ、いいよいいよw
実際私は大寿を殺しかけたんだからw

ポンッとオキニくんの頭に手を置く。


あなた
ありがとね、オキニくん
ニコッと笑うがオキニくんはまだ少し気まづそうにしている。

……あれ、どうしたんだろ
あなた
オキニくん?
武道
……質問、していいですか
……え?
あなた
な、なんでしょう……


武道
大寿の首を絞めた時のあなたの下の名前さんと、一虎くんを殺そうとした時のあなたの下の名前さん……どこか似ていたんです、

え、

その話か……


私はついオキニくんから目線をそらす。
武道
……あなたの下の名前さん、教えてください。まだオレに、隠している能力でもあるんですか?

能力、
あなた
…これは能力って言うのかな。
武道
え?


ぎゅーっと手を握りしめる。

クリスマスの日からずっと、考えていた。
あの女の子のこと、私が誰かに操られているような感覚になった理由……


あなた
黒い衝動
武道
は、はい?
あなた
私の中の黒い部分が、
あなた
あいつを殺せ。あいつは敵だ。あいつは、マイキーを不幸にする。
あなた
そうやって私に語りかけるの。
武道
……
あなた
そしたらいつも急に身体が勝手に動き出す。まるで私じゃない誰かが私の体を使ってそいつを殺そうとしてるみたいになる。


ポロッと涙が頬を伝う。
あなた
ねえ、オキニくん。私、



あなた
死んだ方がいいのかな。
武道
え、な、何言って!
あなた
だって!
あなた
だって、私のせいでみんなが不幸になってる……マイキーだって助けられた試しがない!!だったら!!!
あなた
もういっそ、私が居なくなれば……私が人を殺すことも無くなって、ハッピーエンドになるんじゃないかな……


ずっと考えてきた。

兄さんの死。私があの日あそこに行かなければ2人は死なずに余裕で勝負に勝っていた。


幹部の死。私が手をくださなければ誰も死ななかった。


マイキーだって、私と出会わなければあんな約束しなければ……




みんな、みんな…幸せだったんじゃないかな、
あなた
そう思ったらさ、なんか…
私の生きてる理由が、わかんなくなっちゃってw
武道
違う

え、
武道
違いますよ、あなたの下の名前さん

オキニくんの大きな目が私を捕らえて離さない。

武道
あなたの下の名前さんがいなかったら、東卍はこんなに笑顔は溢れてない
あなた
……ははwそんなの、

笑顔にするなんて、誰でもできる。


私じゃなくてもいいじゃん……
武道
川にあなたの下の名前さんが落ちてオレが三ツ谷くんとドラケンくんに電話した時、2人がなんて言ったかわかりますか?
あなた
え?ま、まじ!?バカなのあいつ……とか?
武道
……
あなた
すみません、そんな顔で見ないでください


気まづくなって、目線を下に下げるとぽつりぽつりとオキニくんが話し始める。
武道
あなたの下の名前が、死にそうな顔だ?普段とは真逆じゃねぇか
あなた
んぇ
武道
それだけ追い詰められてんのか…言えって行ってんのにほんと、頼り方知らねぇなぁw

武道
はぁ!?川に入ったぁ!?!?5分で着くから、あなたの下の名前の身体温めて待っとけ!
あなた
……

もしかして、ドラケンと三ツ谷??

似てなw
武道
……あなたの下の名前さん
武道
こんなこと言ってくれる人がいるのに、まだ死んだ方がいいなんて言えますか

あなた
……
武道
まだ、死にたいですか



その言葉に私はバッとオキニくんを抱きしめる。


というより、すがりつくって単語の方が合ってたかもしれない。
あなた
じにだく……ないっ
マイキー
……ですよね

そっと動物を撫でるかのようにオキニくんが私の頭を撫でる。


ドキッ




へ、ど、どき?
あなた
!?
武道
うわっ!!!

驚きすぎた私はドンッとオキニくんを突き飛ばし、オキニくんはドサッと地面に倒れ込む。
あなた
うわぁぁ!!ご、ごめんっ!!


急いで起こそうと手を差し伸べる。

武道
ぶっwwwあっはははwwwwwww
やっぱりあなたの下の名前さんは笑顔が似合いますね
あなた
なっ////

きっとこういうやつのことを天然タラシというのだと私は胸に刻んだ。

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