あれから数日、

私は飲まず食わずのニート生活を送っていた。


心配そうに兄さんたち(主に竜にぃ)が部屋の外から話しかけてくれるが無視。

東卍メンバーには当分顔を出さないと連絡済みである。


ま、完璧な飲まず食わずとかじゃなくて部屋にある箱入りのウィンダーゼリーは食しているので問題は無い。

⚠真似しないでください

ガシガシ頭を掻きながら布団に潜り込む。


天竺、未来、マイキー……考えることが多すぎてイライラする。



……寝よ、起きてたら考えちゃう。
寝てれば誰にも、迷惑かけないん、だから。

どのくらい寝たんだろうか、玄関からする物音と携帯の通知音で目を覚ます。

溜息をつき、玄関まで行き鍵を開ける。

扉の前には半間。

その隣には何食わぬ顔でこちらを見る、稀咲。


なんでこいつら、ここに…っ

そういうそいつらはどこからどう見ても数日前に見た天竺の特服を身につけている。

ブンっと拳が飛んでくる。

ただ、避けれたのはそれだけ。

栄養失調のボロボロな状態で適うような相手じゃない。


……くっそが…っ、足くじいたじゃんか……！

何発も何発も、半間の拳が体のいたるところに打ち込まれる。

ガシャンッ！！

さい、あく…兄さんたちとお揃いのコップ落ちた……

舐めやがって……

ビュッと飛んでくる拳をギリギリで避ける。

あ？

稀咲は何も言わずにただ私を見ている。

うだうだ言いながらぐちゃぐちゃになった部屋を出ていく2人。

私はそのまま、ぼーっとその場に座り続けた。



たく…


何しに来たんだよ

side 蘭

相変わらず返事がねぇ。

寝てんのかそれとも無視されてんのか……

オレらはそのままあなたの下の名前を置いて家を出た。

そんな声を無視してオレはそっと東卍の隊長に近づく。

あなたの下の名前に怪我させた罪も含めてだいぶ強く殴ってやる。

ま、あなたの下の名前は東卍を裏切るなんて真似しないだろうけどな

おいおい、そんな話してる場合かよw

なんたってあのあなたの下の名前がＮｏ．3だぞ？？


それにプラスで無敵のマイキー……

ゾロゾロと後ろから部下がついてくる。


……あなたの下の名前、そろそろ起きてるかな。

パッと仕事をこなし、やっとのことで携帯を開く。

メールの相手は稀咲…。


その内容は、



東卍のＮｏ．3を半間とともに潰しに行くというもの。

やばい……あなたの下の名前っ！！！

走りながら電話やら、メッセージやらを送るが全く返答がない。



頼むから、玄関に出んなよ！！！

家の汚れ具合に竜胆も呆然と立ちすくむ。

嘘、だろ？？

急いであなたの下の名前の部屋に入るが鍵が開いていて、中はもぬけの殻。


嘘だ……

床にはウィンダーゼリーのゴミが散らかっている。


…こんなもん食べて過ごしてたのか？

ガンッと壁を殴る音に廊下に立つ人影がビクついたのが見えた。

ダッとオレらの元に駆け寄るあなたの下の名前をそっと抱きしめる。


ふざけんな……なんで、こいつがこんな目に……っ！！！

そうだ、何言ってんだよ……。

こうなったのは、オレらのせいじゃねぇか。

え？

やく、そく？？

グラッとあなたの下の名前が傾く。


……っぶねっ！

え？

そう言い放ったあなたの下の名前の目はまるで別の人に語りかけるようで、オレは…


何も言えなくなった。

ガチャっと玄関の開く音に私は兄さんたちが帰ってきたのだと勘づく。

どうしよう、こんなにぐちゃぐちゃにして…絶対怒られるよね……。


正直、怒られるとかどうでもよかったのだが、稀咲に会ったからだろうか未来を思い出して嫌でも吐きそうになる。



……とりあえず、謝りに行かないと。

痛む足を引きずりながら部屋の前まで行くと蘭にぃがガンッと壁を殴った。


ドクンッと心臓が波打つ。



くっそ……

目の前がチカチカする。

目の前にいるのは、心配そうに私を見つめる蘭にぃと竜にぃ。

その顔に私は安堵する。


足が痛いことも忘れダッと2人の元に駆け寄った。

そう言い放つ。

が、その瞬間、


チカッと目の前がフラッシュした。

え？


さっきまでいた2人は私の足元で血まみれになって横たわっている。



……いや、嫌だっ！！

知ってる。この光景は、私が……兄さんたちを殺したあの光景。


なんで、今……思い出すのよっ！！！

マイキーとの約束を、私はっ！！！

グラッと体が傾く。


やばっ！



ギリギリのところを蘭にぃが私の体を掴んだ。

なんで？

私は2人を殺したのに……なんで、

そんな優しくするのよ……私は、


殺人者なのに……っ

殺人者に幸せになる権利なんて存在しない。


“お兄ちゃんなんて、大っ嫌い…”