莉犬side
『う、嘘だろ……』
頭を抱えながら、1人、職員室の自分の席で呟く俺
教師という立場でありながら、
生徒に、き、キスされるなんて……
こんなのバレたら問題だよ……
ま、まぁ、あっちが勝手にしてきたことで、俺は関係……ないけど
里美『……莉犬先生』
『……ふあぁっ、桃田さん!?』
急に耳元に囁かれたイケボな声に、驚き、変な声が出る
桃田さんは、不思議そうに俺を見る
俺は、みるみると顔は赤くなった
里美『桃田じゃなくて、里美って呼んでください?』
『さ、里美……なんて呼べるわけないじゃん……』
呼び捨てなんて……ありえない
里美『じゃあ、里美くん……って、呼んでくださいよ……?』
『えぇ……でも……』
里美『……ね、いいでしょ?』
優しく微笑みながら俺を見る
『まぁ、それなら……』
里美『じゃあ、呼んでみてください……』
い、今!?
誰も周りにいないし……大丈夫だよね
『さ、里美くん……?』
里美『……可愛い……』
『う、うっさいっ/////!』
可愛い、可愛いって、俺は、男なのに……
もしかして、遊ばれてるの!?
だとしたら……許さない……
『で、里美くんは、なんの用事で来たの?』
里美『あぁ……この資料を渡しに……』
そう言って、資料を目の前に差し出す
『あ、ありがとう……』
里美『あの、先生……』
『……ん……?』
里美『俺、本気ですから』
『…………え?』
本気?
何が?
里美くんは、意味不な発言をして職員室を出て行った
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。