ライブまであと3日
今は学校でハナと話している
ハナは深刻な顔でこっちをじっと見つめる
ハナはケータイを差し出した
落とさないようにしっかりと持って画面を見つめる
アンチの一言一言が心に刺さる
ぐさっと
毒が塗られてるかのようにじわじわ痛みが増してくる
なんでハナがこんな画面を見せたのか分からない
もしかして、ハナは私のアンチ………?
私は言われた通りにしか動けず、
言われた通りに下へスクロールした
私は画面から目を離して、ハナの方を見つめる
視界が水で濡れている
きっと私は泣いたんだろう
なぜ?
自分でもこの答えはわかっている
きっと…………
ハナは首を傾げて私の目を見つめる
私はリスナーの言葉をひとつひとつ読みながら
下にスクロールしていく
画面には、ハナからのメッセージが添えられていた
ハナがいた方に目を向けるけど
ハナはそこにはいなかった
きっと私は見えていなかったのだろう
アンチという壁に埋もれ、
リスナーの言葉が見えていなかった
ハナはそれに気づいていた
だから私に教えてくれたんだ
あんまり話さないけど、いい友達だな
私の心の傷は、リスナーの言葉によって塞がれていた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!