昔から嫌いだった。
いじめられても何もいえない自分が、
いじめられて1人で泣く自分が。
「あ、ドヨンくんもやるぅ??」
みんな男子の前では声を変える。
そーゆーの気持ち悪い…
“ドヨンくん”はいじめっ子達を全員帰らせた。
…すごい。
でも、でも、なんで?
雨は冷たかったけど、ドヨンくんの手は温かかった。
…クラスの人たちからの視線が痛い。
私の頭をぐちゃぐちゃにして自分のクラスに戻っていったドヨン。
あちらこちらから歓声が聞こえる。
「あなたちゃぁん!」
クラス代表ぶりっ子様のお出ましですか。
「あなたちゃんって、ドヨンくんのこと好きだったりする?」
ここで好きなんていえない。
言ったらいじめられる気がするから。
「良かったぁ!私、ドヨンくんのこと好きなんだ!あなたちゃんとライバルとか絶対負けちゃうから安心だよ!」
放課後。
みんなチャイムが鳴るなり颯爽と帰っていく。
…ドヨン待ってないと。
後ろから目隠しをされて振り返ると、ドヨンがお菓子を持って立っていた。
口を開けるといちごみるく味の飴が口いっぱいに広がる。
そういって手を繋いでくるドヨン。
…手の温かさはあの日から変わっていない。
何が起こったのかよく分からなかった。
顔近いなって思ったら、ドヨンの唇と私の唇がくっついていた。
突然、告白された。
私だってドヨンのことは大好き。だけど…、正直いじめられるのが怖い。
私が言いたかった事を察したみたいで、そういってくれた。
こうして、私たちは晴れて付き合うことになった。
next.
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!