第48話

莉犬の嘔吐❤️(最終回)
8,325
2021/09/23 05:11
〜るぅと視点〜

ころちゃんに呼ばれて、急いで莉犬の元に駆けつけた。
莉犬はなーくんの腕にもたれ掛かって、ぐったりしていた。
るぅと
るぅと
だ、大丈夫なんですか…?
ななもり。
ななもり。
ん〜…大丈夫、とは言えないかな。
ジェル
ジェル
病院ッ…!
さとみ
さとみ
ジェル、落ち着けって。
さとみくんは最年長なりの冷静さを見せて、なーくんと莉犬の傍に座った。
莉犬の顔を覗き込んでから、少しため息をついた。
さとみ
さとみ
…病院に行く程でもないかな。
ころん
ころん
えぇ!?
一応行った方がいいんじゃないの?
ジェル
ジェル
せやで!!
絶対行った方がええって…。
るぅと
るぅと
……あ。
僕はさとみくんが病院に行かせない理由に閃いた。
…いや、閃いたというより察してしまった。
僕はころちゃんとジェルくんにそれを説明した。
さとみくんはただスタッフさん達に説明して、運動会を中断してもらうようにお願いしていた。
ころん
ころん
…確かに……。
ジェル
ジェル
ま、まぁ…そりゃ分かるか…。
ななもり。
ななもり。
とりあえず…莉犬くんが元気になるようにね!
皆で看病しよう!
なーくんは暗くなりかけていた場の空気を取り戻してくれた。
それから僕達は濡れたタオルを持ってきたり、コンビニまで食べられそうなものを買いに行ったり…と分担して看病に努めた。
スタッフさん達となーくんの会話を聞くに、莉犬は熱中症の可能性が高いらしい。
皆でうちわを持ってひたすら扇いだ。

そして一時間後…
さとみ
さとみ
…あ。
ころん
ころん
莉犬くん!!!!
ジェル
ジェル
莉犬目覚ましたか!!!
るぅと
るぅと
莉犬!!
莉犬
莉犬
……え…?…何!?
莉犬は困惑した様子だった。
倒れる前の記憶は残っていないらしい。
ただ「何か寒かったから起きた」と言って、皆を安心させた。
そして、他のメンバーの体調も気遣って、今日は早めに帰ることになった。
僕はなーくんと共にスタッフさん達の片付けの手伝いをした。
ななもり。
ななもり。
るぅちゃんありがとね。
最後まで手伝ってくれて。
るぅと
るぅと
いえいえ…僕帰っても何もやる事ありませんし!
ななもり。
ななもり。
そっかそっか…。
なーくんは大きな荷物を軽々持ち上げて、スタッフさん達の方へ持っていった。
僕はそんななーくんを見て、少し心が痛んだ。

目の下のクマ…ちゃんと食べているのか心配になる細い体…、何よりなーくんの口から「辛い」とか「疲れた」とか弱音を聞いたことがない。
ずっと我慢してるんじゃないかな。
僕達に心配させないように…。

そうやってぼーっとしていると、なーくんが戻ってきて肩を叩かれた。
ななもり。
ななもり。
るぅちゃん?
大丈夫?
るぅと
るぅと
あっ……はい!
ななもり。
ななもり。
…ははW
いい返事だね。
るぅと
るぅと
癖で…
ななもり。
ななもり。
育ちがいいんだろうね〜。
そうして僕は最後まで片付けを手伝って、帰路に着いた。

end

プリ小説オーディオドラマ