あ、ニヤニヤした
その時、足に何か異変っていうか、痛みを感じた
ちらっと見ると
慣れてない靴だからか、靴づれがあった
並んでいるうちに、どんどん痛みが増していく
ようやく席に入れると
靴づれした部分が真っ赤に腫れている
まずい…
そのあと、なかなか銀太は帰って来ず
もう上映2分前になってる
すると、息を切らした銀太が私のとこに向かってくる
何か買ったのか、今まで持ってなかった袋があった
私の靴づれを見て言った
気づいてたの、?
言ってなかったのに、
ちゃんと服装に合うようで
靴づれが痛まない可愛いサンダル
多分名前で選んだんだろう
「すぐに治る!出血・肌割れ・靴づれに!絆創膏」ってやつ
やばい、少し惚れた
あほっぽいのに
ちゃんと分かってくれてたのがすごい嬉しかった
私は、銀太の横顔が好きだ
綺麗だから
時々、切なそうな目をする
その目にドキッ、としてしまう
なんだろう、この止まらないドキドキ
いつもなら少しでも止むはずなのに
子供みたいに嬉しそうな顔して
喜ぶ銀太は、もはや5歳児のようだ
私が指したのは……マリカー
負けたわ。
UFOキャッチャーに張り付く
カビゴンほしい…
悲報、あなたちゃんゲーム下手
え、銀太うまいやん?
え、なに?やってる?
とか言いながら取ってくれた銀太さん
やっぱ隣歩くのなんか変
なんかなんていうんだろう
近いところが変になるというか
なんでいうんだろ……
赤信号なのに渡ろうとしてたらしい
体を引っ張られた時
銀太の胸の中に収まった
なんか、心臓がやばいうるさい
ドキドキしすぎだ
顔も距離近いし、やばいやばい
そう言って笑いながら、抱きしめた手を離した銀太
平気そうに笑う姿が
とても弱くもろくみえた
なんでだろう
彼のことを考えると、心が痛くなってしまうのは
なんでだろう
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。