jinside
________
ゴロゴロ_
てお 「雷すご、」
絶賛大雨中の今日、スカイハウスにはテオくんと俺、それからちぃの三人だけ。
三人でリビングでゆったりしながら編集をしていると、さっきまで休めずに動かしていたちぃ手が止まった。
『? ちぃどしたの?』
ちぃ「あ、雷ダメでっ、」
ピシャッ_
ちぃ「やだっ、」
今にも泣きそうな顔になったちぃがそのままソファーの上で縮こまる。
てお「ちょっ、ごめん俺が雷とか言ったから、
大丈夫だよ。落ち着いて?」
そう言ったテオくんも一度手を止めてちぃの隣に座ると、ちぃの体をそっと支えて包みこむようにして背中を摩った。
そんな二人の姿を 雨すごいもんね なんて言って編集をしながら横目で見つめる。
なんかカップルみたいじゃん。
スカイチームっていうグループを結成してから賑やかで楽しいのに、それ以上にテオくんとの距離感を気にしてしまうようになっていて。
テオくんと二人きりになれないのがなんともむず痒かった。
前に二人で暮らしていた時は、 怖いね-、なんて言いながら一枚の布団にくるまっていたのに。
ガラガラガッシャーン_
『うわ、ぁっ』
ぎゅっとちぃがテオくんにしがみついた。
今のは流石に俺でもビビった。
肩を揺らしてしまったのはテオくんには見られてないだろうか。
てお「だいじょぶだよ。ちぃ。雷なんてすぐ止むよ。」
そう優しい声で言いながらテオくんはちぃの頭を撫で続けている。
まるで俺が泣いた時ぎゅって落ち着かせてくれる時みたいに。
テオくんは俺なんか見てないか_
自分で思ったくせに、悲しくなってキッチンの方へ逃げる。
冷蔵庫を開けて買っておいたスポーツドリンクを手に取ろうとした。が、そんなもの本当はあるはずなくて。
買いに行こう。そう思った。
テオくんとちぃを見てるもの耐えられないなんて。
どんなだけ嫉妬深い恋人なんだろ。
でも、耐えられないんだ。
『俺、コンビニ行ってくるから。』
そう言って傘も持たずに濡れてしまえ_!
と家を飛び出した。
✎あひるの娘
✎雷怖いの↻ておじん
✎つづきます
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!