渡辺サイド
「しょったしょった!!」
渡「なに」
楽屋に入るやいなや急に話しかけてきたあなた
まあ今更キャラ変するわけにもいかないし、俺はそっけなく返事する。
彼女の目はキラッキラだ。
なんかいいことでもあったんだろう。
そんな期待を胸に俺は優しい瞳を彼女に向ける。
すると彼女はバッと右手を差し出して俺にこう言った。
「見て!!コアラのマーチのレアキャラ!!」
ドヤ顔で言ってくるあなた。
反対の手にはコアラのマーチの箱。
右手に持たれていたのはコアラのマーチ。
その絵はなんかウエディングドレスみたいな衣装を着たコアラだった。
それが期間限定だかなんだか、レアなんだって。
うーん、反応に困るな。
しかもあなたはニコニコしながらそれを眺めてる。
『食べるのもったいないな~』なんて、いや残しとくほうがもったいないでしょ。
突っ込みたいけど、幸せそうだし言わないでおく。
彼女は突然「はっ!」と気がついたように言うと、楽屋にいたメンバーに問いかけた。
「食べるのもったいないし、ポリ袋持ってる人いる~?」
向「俺持ってんで〜?」
そうきたか。
絶対帰る頃ボロボロになってるけど。
ポリ袋にとっておくつもりですか。いや多分それすっごくもったいない。
こんなにくだらないことなのに
なんでこんなに笑顔で報告してくるんだろうか。
その笑顔に、周りまでつられちゃってさあ。
多分、笑顔の源って言うんだろう。
こういうとこだろうな、
俺が彼女に惹かれたのは。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!