第29話

すれ違い
3,536
2019/04/30 12:46

🐰

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俺の言葉に

え?と焦るテオくん。






嫌な言葉ばかり口から出て

欲張りな俺は
暗い気持ちが止まらなかった。





【捨てられちゃう】





そんな思いが何度もよぎって

自分を守る為に 言いたくないことばかり言う。





テ「...それは...俺はじんたんのこと...大切にしたくて」


歯切れ悪く俯く


じ「俺が男だから、抱き辛かっただけでしょ?...俺がかすちゃんみたいだったらよかったんだろ」


テ「そんなことない!男とか関係ないよ!」


じ「__っよく言えるな!もういいよ!かすちゃんとイチャついてろ!」


テ「なんだよその言い方!」


掴まれた腕をぐいっと強く引かれて
テオくんより力のない俺の腕に痛みが走る


じ「__っ!」


テ「__!ぁ、ごめっ...!」


ハッとしたように力を緩めるテオくん。


...なんだか惨めになって
涙は溢れるし もう疲れたし

テオくんは、俺が今日のテオくんみたいに女の子と接してても何も思わないのかな。

思わないから 出来るんだろうな。



可愛くない俺に テオくんもイライラしてるんだ。




力の緩まった手をもう一度振り払って 向きを変えて早足で歩き出した。



テオくんは
追いかけてこない。



その事実が もっともっと
俺を惨めにさせた。












________












しばらく歩いて
後ろを振り返っても
もちろんテオくんの姿はない。


...呆れられちゃったかなあ



もう日が暮れて暗い道は
人通りも少なくて、
ずっと早歩きしていた速度をゆっくりゆっくりにして

足は自然と
みやの家に向かっていた。

...誰かに 聞いて欲しかったんだ。







_______










じ「...ごめんね、突然来ちゃって...」





みやは 当たり前のように俺を家に招き入れてくれて、悲しい時に頼ってくれるのは嬉しいよって いつも通り優しくしてくれた。



み「テオくんと喧嘩でもした?」


じ「...うん。色々あって...」



ゆっくりひとつずつ
テオくんの行動や俺の気持ちを話した。

落ち着いて優しく聞いていたみやも
段々と不満げな表情に変わっていく。



み「...なにそれ」



眉間にシワを寄せて
珍しく険しい顔をするみや。



み「...それはテオくんが悪い。
いくら友達だからって 好きな人を不安にさせていい理由にはならないよ。ましてや相手が女の子って。」


じ「...俺を抱けないのも やっぱり男じゃ嫌なのかなって思っちゃって...」



たどたどしく話す俺に寄り添う様に座って
そっと背中を撫でてくれた。


み「...まだそういうことしてないのは、テオくんなりの考えもあるのかもしれないけど...。
かすちゃんの件は許せない。」


じ「...みや、ありがとう」






一緒に怒ってくれて、悩んでくれて
なんだか少しすっきりできた。


...テオくん、今頃まだかすちゃんと2人で居るのかな。

...良い感じだったりするのかな。








スカイハウスに戻りたくなくて

思い悩んでしまっていた。

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