第3話

アルコール
4,370
2019/04/10 18:12

🐰

________




テ「じんたーん、今日さ、編集おわったらスカイハウスで飲もうよ」


朝起きて顔を洗い終わったテオくんが
濡れた顔を拭きながら隣に座った。


じ「え?珍しいねwいいけどどうしたの?」



ふわっと香るテオくんの香り。
俺のだいすきな匂い。




テ「最近飲んでないし、じんたんとゆっくり飲みたいなってw」



そう言って
楽しそうに笑うテオくん。



わーーかっこいい!かっこいいんだって!
やめてよそんな顔するの。
ふたりで飲むのもほんとは緊張するのに...。





じ「仕方ないなあw」





気持ちを殺すために
いつも通り笑ってそう返した。










夕方 編集後、
約束通りテオくんと買い出しに向かう。

いつもよりたくさんのお酒と、たくさんのお菓子。

嬉しそうにカゴに缶を入れていくテオくんに
「そんなに飲むの!?」って言ったら、
「2人だし、潰れてもじんたんが面倒見てくれるでしょーw」って。


面倒 見ないからな。
そんな残酷なこと させないでよテオくん。






お酒を飲みながら、いつもの他愛ない話しや
YouTubeの話し、お互いのしょうもない話しを、こんなに笑えるかというくらい笑いながら話した。

テオくんは、本人曰く楽しくて、
俺は緊張で
お互い飲むペースがすごく早い。


何度も「かんぱーい!」と笑っては
缶を一気に殻にした。



あー、頭ふわふわするなあ。
やばいなあ。そろそろやめなきゃ...



テ「じんたーん!まだ飲めるだろ!飲むよ!w」



テオくん、楽しそうだなあ。
うれしい。


じ「あたりまえじゃん!飲むよ!w」



ごくごくと
度数の高いお酒を飲み込む。



あれ?やばい
視界がぼやぼやする。




テ「あれ、じんたん酔っちゃった?」




目の前には、ほろ酔いで上機嫌なテオくん。

たくさんのお酒。



段々思考が回らなくなってきた俺は
目の前の新しい缶をまた開けて
一気に飲み干した。



テ「じ、じんたん?大丈夫?」



あんまりお酒に強くない俺を、ちょっと心配したようにのぞき込むテオくん。



じ「だいじょーぶ だよ、へへ、テオくん!」





テオくんが、隣にいる。



大好きなテオくんが隣にいる。





うれしくて、思わずテオくんに抱きついた。







じ「テオくん...テオくんーん」



テ「ありゃぁ、じんたん潰れちゃったなあ、飲ませすぎたーごめんじんたんw」





ふざけてんじゃねーよ!て笑って
テオくんが大きな手で俺の背中をさすってくれた。





回らない頭でテオくんの感触を感じる。




じ「テオくん、さわってーもっと、もっと。」



テ「どうしたのじんたん、甘えただね~」



じ「足りないんだもん。さわってテオくん。」




俺に触れてない方のテオくんの手を掴み、
自分の腰へ回す。



一瞬、テオくんが強ばった気がした。
気のせいかな。





いつもは言えないような台詞が
言っちゃだめなような台詞が
酔った口からふわふわ溢れ出す。




じ「テオくん、おれ、気持ち悪いかな」


テ「へ?気持ち悪い?なんで?」




向かい合わせに座って

テオくんから包み込まれるようになっているこの状態がとてもとても気持ちよくて、切なくて、どうしようもない気持ちになった。




じ「おれ、テオくんに甘えてるし、こんなこと してもらってるし」




そう言いながらふらふらして自分の頭をテオくんの胸にトンっと寄せてしまう。





テ「...じんたん。じんたんは気持ち悪くなんかないよ。甘えてくれるのも、素直なのも、俺はすーーっごい嬉しいよ」







そう言って、
酔っ払いの俺を
テオくんが優しく抱きしめてくれた。







ああ。


テオくんに抱きしめられてる。



なんて幸せなんだろう。


なんて、なんて









なんて悲しいんだろう。




叶うはずもない恋なのに。



期待だけ膨らませるんだよなあ、テオくんは。














じ「...ておくん すきだよ」







涙と一緒に
その言葉は
溢れるように
俺の口から滑り出した。










プリ小説オーディオドラマ